ポーラ・オルビスHD・横手喜一社長、2024年入社式祝辞

週刊粧業 2024年4月8日号 13ページ

カンタンに言うと

  • 『で』仕事ではなく、『が』仕事を
ポーラ・オルビスHD・横手喜一社長、2024年入社式祝辞

 ビジネスをしていく中で、私たちが向き合っているのは「生活者」であることをまず念頭に置きたい。反省も含めて振り返ってみると、 我々が向き合っているのはお客様だ、とつい思いがちだが、それは「私たちの化粧品を買ってくれる方」といった企業目線だ。真にお客様と向き合うということは、お客様それぞれに家族・地域・社会の中での日常があり、その中で生活者として見た時に、何を提供すれば興味や信頼、そして期待を持ってもらえるかを考えることではないか。また一方で忘れてならないのは、私も皆さんも、様々な役職等を別にして生活者ということ。一個人の生活者として、何が必要とされているか、何を本当にやるべきか、といったことを常に考えてほしい。

 私は仕事には2種類の考え方があると仮説を持っている。それは『で』仕事と『が』仕事であり、『で』仕事というのは、「これでいいですか?」というように、確認を求めるような仕事だ。会社にはルールや仕事の進め方があり、先輩から「こういう風にやればいいんだよ」と教わることが沢山出てくる。求められていることがわかると『で』仕事になりがちだ。もう1つの『が』仕事は、「これがいいんです」「これがやりたいんです」という仕事。この『が』には主体性がある。既に答えがあることを再確認する仕事だけでは、組織は昨日のままだ。昨日のままがずっと続くと、いつかは時代から大きくかけ離れていく。そうではなく、時代が変わる、生活者の気持ちも価値観も変わる、世の中も変わっていく時には、これまで答えとして認識していなかったことを、新たに見出していく事が大切になる。皆さんの『が』仕事は、変化に対応していく原動力になる。私たちがお客様や社会から選ばれ続けることは容易なことではなく、当たり前ではないという意識をもって、ぜひ『が』仕事に取り組まれることを願っている。

 『が』仕事を実践しようとすると、なかなか難しいと言われることも多いが、そのような時は「問いをたてること」、これに尽きると思う。会社の仕組みやルール、仕事を覚えた時に、「何故このようなことをしているのか」「どうしてこうなっているのか」と一つひとつ、問いを立ててみてほしい。日常当たり前にやっていることに対して、常に問いを立て続けていく。環境や社会や生活者の価値観が変わっていく中で、問いに対する答えを見出すのは、簡単なことではないが、この「問いを立てること」に皆さんの集中力と責任感を注いでほしい。

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