電子決済の普及にともない、生活に身近な製品・サービスでサブスクリプション(定額課金)型を利用する生活者が増え、サブスク市場が成長しています。
サブスクはEC・通販やデジタルコンテンツなどオンラインで利用が広がりましたが、ビューティ領域においても、DXの推進やデジタルマーケティングの進化で、EC・D2Cブランドを中心にサブスク型のビジネスモデルが広がってきました。
近年は美容室や家電量販店などオフライン店舗でも体験を取り入れたサブスク型の新たなサービスが生まれ、注目を集めています。
コスメサブスクリプション市場では、パーソナライズやサステナビリティ、付加価値の提供が重要なトレンドとなっています。
1.パーソナライズ化
多くのコスメサブスクは、ユーザーの好みや肌タイプに応じた商品を提供するサービスを強化しています。例えば、BLOOMBOXではビューティープロファイルに基づいて、個々のユーザーに合ったアイテムを毎月送付しています。
2.サステナビリティとエシカル製品
環境意識の高まりにより、サステナブルなブランドやエシカルな商品を含むサブスクが人気を集めています。一部のサービスでは、環境負荷を減らす取り組みを強化し、リフィル製品やエコ包装を採用しています。
3.付加価値の提供
コスメに加え、ライフスタイル雑貨やスキンケア製品を含むサービスが増えており、ユーザーに多面的な体験を提供する動きもあります。
4.まとめ
これらのトレンドは、パーソナライズやサステナビリティに対する消費者の関心の高まりに応じて、今後も進化していくと予想されます。
コスメサブスクリプションサービスには多くの利点がありますが、以下のような課題も指摘されています。
1.パーソナライズの精度の課題
個々のユーザーに最適な商品を提供するためのデータ収集や分析が不十分な場合、利用者の期待に応えられないことがあります。特に肌質や好みの違いに応じた製品を正確に選定することが難しく、結果として満足度の低下につながるリスクがあります。
2.定額料金に対するコストパフォーマンスの問題
利用者の中には、毎月支払う定額料金が自分の利用頻度や得られる商品と釣り合わないと感じる人もいます。また、サブスク商品が期待以上の価値を提供できない場合、解約率が高まる傾向にあります。
3.解約手続きの煩雑さ
サブスクリプション全般に共通する課題として、解約が煩雑であったり、継続課金のトラブルが発生するケースがあります。消費者にとって解約手続きが不明確だと、サービスへの不信感が増す可能性があります。
4.商品価値の多様性に関する課題
サブスクリプションサービスの一部は、月々の提供商品にバリエーションを持たせられない場合があります。特に頻繁に同じブランドや同様の商品が含まれると、新鮮味がなくなり、サービスに対する興味が薄れてしまうことがあります。
5.まとめ
これらの課題を克服するためには、パーソナライズ化の精度向上や、顧客のライフスタイルに合わせた価値提供、解約手続きの簡略化などが求められています。
コスメサブスクリプションが今後さらに発展するためには、以下の要素が鍵を握ると予想されます。
1. さらなるパーソナライズの進化
現在でも多くのコスメサブスクはパーソナライズを強化していますが、今後はさらにAIやビッグデータを活用して、ユーザーの肌質や好みに基づいた精度の高い商品選定が進むと考えられます。AIによる肌の状態分析や、個々のライフスタイルに合った提案が期待されています。
2. サステナビリティへの対応
環境意識が高まる中、サステナブルな商品提供や、エコフレンドリーな包装材の使用などが重要視されています。特に若年層の消費者は環境配慮を重視する傾向が強いため、企業は再利用可能なパッケージやリフィル商品などを積極的に導入し、持続可能なビジネスモデルを構築する必要があります。
3. エクスペリエンスの提供
商品だけでなく、「体験」を重視したサービスが今後増えると考えられます。たとえば、プロの美容家によるオンラインカウンセリングや、使用方法の動画提供、ユーザーコミュニティとの連携など、サブスク体験を強化する取り組みが進むでしょう。
4. ARやVR技術の活用
先進技術を活用した「バーチャル試着」や、「自宅でのカスタマイズ体験」も、今後のコスメサブスクの大きな展望の一つです。これにより、ユーザーが購入前に製品を仮想的に試し、より満足度の高い購入体験を提供できる可能性があります。
5.まとめ
これらの展開により、コスメサブスクリプション市場はさらなる成長を遂げると予想されます。参入企業は顧客の期待に応えるために、絶えず革新と利便性の向上を図ることが求められます。
電子決済の普及にともない、生活に身近な製品・サービスでサブスクリプション(定額課金)型を利用する生活者が増え、サブスク市場が成長している。サブスクはEC・通販やデジタルコンテンツなどオンラインで利用が広がったが、ビューティ領域においても、DXの推進やデジタルマーケティングの進化で、EC・D2Cブランドを中心にサブスク型のビジネスモデルが広がった。近年は美容室や家電量販店などオフライン店舗でも体験を取り入れたサブスク型の新たなサービスが生まれ、注目を集めている。今特集では、関連企業3社(花王、レボル、High Link)を取材した。
花王は、プレステージブランド「est(エスト)」の進化型サブスクリプションビューティプログラム「est Skin Athlete Gym(エスト スキンアスリートジム)」を、4月11日から「est Grand Store GINZA」にて本格的に始動している。
南木将宏氏は、大学在学中の2017年にHigh Linkを創業、2019年より「カラリア」を運営している。
矢野経済研究所が今年4月に発表した国内のサブスクリプション(定額)サービス市場に関する調査結果によると、2018年度は化粧品を含む8市場合計が5627億3600万円(エンドユーザー支払額ベース)で、5年後の2023年度は8623億5000万円になると予測している。昨今は動画や音楽、ファッションをはじめ、自動車・ソフトウェア・メディア・食品などのあらゆる分野でサブスクリプションサービスが普及し、今や生活の中でも身近なものとなってきている。化粧品業界においても、忙しい女性や感度の高い女性を対象にしたコスメのサブスクリプションサービスがベンチャー企業のみならず、大手メーカーの参入もあり活発化している。今特集では、化粧品のサブスクリプションサービスを展開する5社(資生堂、シスレージャパン、アイスタイル、協和、laboratory)を取材した。
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