シー･アクト、海藻由来「天使のリング」の多用途利用を提案

　シー･アクトは、未利用の植物･海洋資源から肌や髪を美しくする有効成分を発掘し、化粧品･健康食品分野でアクティブ原料の研究開発を行っている。開発したアクティブ原料は概ねNMPAに対応しており、中国市場向けの製品企画に使用できる設計になっている。

　海洋資源では、アカモクやメカブ、マコンブなどから、肌の保湿･バリア機能のある活性成分の抽出に成功している。中でも近年、特に注目を集めているのが、国産フクロフノリから抽出した化粧品･医薬部外品原料シリーズだ。少量添加でシリコンと同様の特徴を付与できるヘアケア原料として注目され、肌への刺激を緩和する効果を確認した昨春以降は、スキンケア処方への配合で検討する企業も増えている。直近では洗顔料で採用が決まったという。また、メークアップ製品のスキンケア効果を付与する原料としても検討が進んでいる。

　同社は、国産フクロフノリの研究で、活性成分「フノランNa」を発見し、フノランNaの抽出に成功した。医薬部外品に対応する「天使のリング」と「フノランNa」、化粧品原料「フノリエキス」の3品をラインナップしている。

　その中で、「天使のリング」（医薬部外品表示名称:海藻エキス(5)）は、フクロフノリエキスと植物性BGを使用している。「天使のリング」として商標登録も行っており、配合製品の販促などに使用できる設計にしている。2022年より販売を開始し、シャンプーやコンディショナーを中心にヘアケア製品で採用実績を伸ばしている。

　「天使のリング」は、シリコンよりも少量添加で、シリコン配合製品と同等の効果を発揮することが確認されている。天使のリング配合液のダメージ毛に与える影響について、リンスオフ試験とリーブオン試験を行ったところ、天使のリング配合液の適用により、ダメージ毛を補修･修復する効果を確認した。

　0.05%天使のリング配合液を用いたリンスオフ試験では、適用前に比べ、毛髪水分量が3倍以上アップすることが確認された。毛髪の水分量が向上することで、うねりを抑え、ツヤのある髪へと仕上がる。また、毛髪摩擦力が、適用前の約1/3程度に低減され、櫛通りが改善し、毛髪への負荷を軽減することが確認された（図1）。

　リーブオン試験は、0.005%天使のリング配合液を用いて実施した。天使のリングの極微量添加にもかかわらず、毛髪水分量は適用前に比べて大幅に向上し、髪の毛のうねりを抑え、ツヤを与えることが確認された。毛髪摩擦力も大幅に軽減され、櫛通りがよくなることが認められた。

　また、「フノリエキス」を用いたダメージ毛の評価試験も実施した。1.0%フノリエキス配合液を用いたリンスオフ試験で、0.05%天使のリング配合液と同等の効果を、リーブオン試験では0.1%フノリエキス配合液で、0.005%配合液と同等の効果が確認められた。

　リンスオフ、リーブオンで用いた毛髪を、電子顕微鏡で観察してみると、毛髪表面が剥がれていたダメージ毛が、天使のリング配合液（または、フノリエキス配合液）の使用により、キレイに整っていることが確認できる。

　頭髪化粧品の開発を行っているメーカーやOEM企業からは、「少量添加で使用感の向上を実感できる特徴や、処方設計しやすい成分の安定性が高く評価されている。前向きに検討を進めるブランドは多く、1～2年の開発期間を経て、採用につながっている」（同社）。新製品はもとより、既存製品の改善･改良で「天使のリング」の採用実績が増えているという。

　2023年春には、ヒト評価試験による肌への効果を調べたところ、少量添加で保湿の即効性と持続性を兼ね備えた原料であることが確認できた。また、肌への刺激を緩和する原料であることも認められた。

　0.05%天使のリング配合液と無配合液を用いて、塗布前と塗布20分後の角質水分量（保湿）を評価したところ、天使のリング配合液は、無配合液に比べ、角層水分量が有意に向上することが認められた。また、連用塗布試験で、塗布4週間後の角質水分量を確認したところ、無配合液と比較して、有意に角質水分量が上昇していることが確認された（図2）。

　以上から、「天使のリング」は即効性と持続性を兼ね備えた保湿成分であると言える。

　また、肌刺激性に関して、フノランNaを用いたスティンギング緩和テストを実施したところ、フノランNaを1ppm添加により、有意な刺激緩和効果が認められた。敏感肌向けの処方開発に適した原料として紹介を進めるほか、メークアップ製品のスキンケア効果の付与にも適した原料として紹介を進めていく。