カネボウ化粧品はこのほど、長崎大学との共同研究「“日やけのメカニズム”解明の糸口となる遺伝子の発見」に関する記者会見を開催した。
皮膚は紫外線のダメージを受けると、その影響を最小限にとどめるために様々な反応を示すが、その過程で多くの遺伝子が関与する。そこで「日々の日やけ予防で光老化のリスクを軽減すべく、これらの遺伝子がどのようなメカニズムで働くのか、長崎大学と共同で研究を進めた」(高橋慶人カネボウ化粧品価値創成研究所皮膚化学研究グループ主任研究員)という。
研究にあたり着目したのが、紫外線を浴びた後に強い日やけ症状を起こす遺伝性疾患「紫外線高感受性症候群」だった。1981年に日本で見出された遺伝性光線過敏症で、強い日やけ以外の症状はほとんどみられない軽度な疾患である。傷ついたDNAを局所的に素早く修復する経路、TCR(Transcription Coupled Repair)が機能せずに皮膚炎を発症するものだが、症例報告が少ないため原因遺伝子が解明されないまま30年ほどが経過していた。
研究グループでは、DNAを構成する4種類の塩基の並び方を順に読み取って遺伝子の暗号を解読する「次世代シーケンス解析法」で原因遺伝子の同定に挑み、疾患の原因と考えられる1つの遺伝子変異を突き止めた。
この遺伝子を原因遺伝子(UVSSA)と仮定し、紫外線高感受性症候群患者の細胞に正常なUVSSA遺伝子を導入したところ、健常者と同レベルまでTCRの機能が回復した。これにより、この原因遺伝子がUVSSA遺伝子であることが明かになった。
この遺伝子は大阪大学とエラスムス医学センターのグループでも相次いで発見しており、この発見を記述した論文が学術誌「Nature Genetics」(4月1日付)の電子版に同時掲載された。
「今後は、UVSSAの機能低下や量的減少を生じる遺伝子変異の有無や、健常人の日やけのしやすさや、しにくさの違いによるDNAのわずかな違いも調べていきたい」(高橋氏)
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この記事は週刊粧業 掲載
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