国内の求人市場における近年の傾向は、リーマンショックの影響により一旦は新卒、中途ともに求人が大きく落ち込んだものの、それ以降は毎年右肩上がりで求人数が伸び続けており、「リーマンショック以前の水準まで回復している」(業界関係者)といった見方が強い。
今回、取材した就職・転職支援企業の動向をみると、紹介実績や求人社数で転職支援業界№1の実績を誇るリクルートキャリアが展開する転職サービス「リクルートエージェント」では、求人数の推移がリーマンショック直後の2008年9月に7万9576人で、翌2009年4月にはこの5年間で最も低い求人数(3万0965人)を記録していた。
しかし、今年1月には7万9215人とリーマンショック直後の水準まで回復し、さらに半年後の7月には9万8275人と、求人数は飛躍的に拡大している。
マイナビでは、新卒学生向け就職サイト「マイナビ」で、2014年卒採用の求人掲載社数が1万300社となり、前身を含む1999年のサービス開始から初めて1万社の大台を突破した。
転職サービス「DODA(デューダ)」を展開するインテリジェンスでは、2013年6~9月にかけて2008年の調査開始以来、4カ月連続で求人数が過去最多を更新し続けている。
こうして今年に入り、国内求人市場が活性化している一因としては、昨年末に政権交代が行われ、第2次安倍晋三内閣による一連の経済政策「アベノミクス」による景況感の改善で、企業側の雇用気運が高まっていることが挙げられる。
しかし、こうして求人市場が全体的に盛り上がりをみせる一方で、「化粧品業界の中途採用に関して、企業側は今厳しい状況にあるのではないか」(業界関係者)と懸念する声もある。
その背景には、求人が右肩上がりで伸びている中で、「特に人材の採用意欲が高い不動産や金融業界では、営業経験がある人ならどの業界からでも欲しいと積極的に人材採用を行っている。しかし、化粧品業界では他業界からの採用は比較的少なく、同じ業界の経験ある人材を求める傾向が強いのが特徴だ。
今後も求人市場が活況になれば、化粧品業界に限らず他業界との人材の取り合いが激しくなり、今以上に人材の採用は厳しくなる」(業界関係者)という。
今後の求人市場の展望としては、2020年の東京五輪開催が決定したことにより、インフラ整備に関連する建設業界のほか、ホテルや飲食店などのサービス業、スポーツ用品メーカー、広告会社などでも人材需要は拡大していくものと推測される。
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この記事は週刊粧業 掲載
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