コーセーは、今年度の活動テーマとして「既存品の育成」「総カスタマー接客数の拡大」「№1宣言」の3項目を設定し、営業の意識改革を進めている。
また、データに裏打ちされた精度の高い提案の実現に向け、店頭支援システムを導入した。
コーセー化粧品販売の熊田篤男専務取締役に専門店戦略の現状と今後の展望について話を伺った。
既存品の紹介活動強化し
店頭消化率は順調に推移
――今上期の専門店政策の進捗状況を教えてください。
熊田 昨年度は、「V字回復を果たす」ということを旗印に掲げ、全社的にマインドの高揚に努めました。営業にも「市場の厳しさの所為にしていては現状を打破できない」と繰り返し伝えてきました。
今上期は、昨年度のV字回復時に全体実績を牽引した専門店ルートで、新製品に依存しない既存品の紹介活動に地道に取り組んだ結果、店頭消化率も順調に推移しています。中でも、政策店様が専門店ルート全体を牽引しており、伸長率は全体の数値よりも高い水準を維持しています。
――「既存品の紹介活動」というお話がありましたが、具体的にはどのようなことですか。
熊田 今期は、営業活動テーマとして、「既存品の育成」「総カスタマー接客数の拡大」「№1宣言」という3項目を設定しています。
「既存品の育成」に向けては、「新製品が発売されないから実績が厳しい」という考えを払拭してもらうべく、意識改革を進めています。
もちろん、新製品を発売していくことはメーカーの義務ですし、新しい切り口や新しい技術を盛り込んだ製品を紹介することもまた然りです。しかしながら、本当に既存品を育成しきっているのかと尋ねられれば、必ずしもそうとは言えません。
そこで昨年度は、「コスメデコルテ モイスチュアリポソーム」「雪肌精」「清肌晶」の3品を育成商品に据えました。また今年度は、コスメデコルテでは「モイスチュアリポソーム」「ホワイトロジスト スポッツ コンセントレイション EW」「ヴィタドレーブ」「ヴィタ ドレーブ マスク」、コンシューマー系では「雪肌精」「清肌晶」「肌極」「アスタブラン」を育成商品に設定しました。
一例でいうと、「モイスチュアリポソーム」は発売から20年以上という歴史がありますので、どのお店様でもハウスブランド化していると考えがちですが、改めていい商品をしっかり育成していくという原点に立ち返り地道な活動を積み重ねた結果、実績にもつながりました。厳しいときこそ、お客様を見て、お客様に一歩近づいて接客・提案をしていくというのが非常に大事ではないかと考えています。
「総カスタマー接客数の拡大」とは、言い換えますと「再度お客様を見つめ直しましょう」ということです。営業やお店様から「少子高齢化で人口が減っていく中で総接客数は増えない」という話を聞くことがありますが、本当にそうでしょうか。
台帳を見ると、年に2回以下の来店頻度のお客様が結構いらっしゃいます。こうした方々に年4回来店していただければ売上げは2倍になります。接客数を増やすためには、こうした活動が重要ですし、最近では常連客のお母さんが娘さんを連れてやってくるというパターンが増えていると聞きます。現在の会員様に知り合いの方をご紹介いただく手法も有効です。
現在、「総カスタマー接客数を全店平均で前年比110%以上にする」という目標の達成に向け、接客数の進捗を店舗別で管理する方式を採用し、それぞれの営業がしっかり目標を持って提案を行っているところです。
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この記事は週刊粧業 2013年10月21日号 8ページ 掲載
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