化粧品OEMアンケート調査(回答全37社)、業績拡大の動きが加速

週刊粧業 2015年2月23日号 6ページ

化粧品OEMアンケート調査(回答全37社)、業績拡大の動きが加速
 具体的な経営事情や受注状況がなかなか見えづらい化粧品OEM業界の実態を探るため、本紙は年に1度「化粧品受託製造メーカー・アンケート調査」を実施している。

 今年も全37社から協力を得て、その結果をまとめた。業績見通しや商品開発の方向性、今後の成長戦略など、各テーマに沿って解説する。

(1)今期の業績見通し、「伸長」が60%超に

 今期の業績見通しについて質問したところ、「伸長」との回答が最多の23社にのぼり、62.2%を占めた。昨年の調査では「横ばい」が51.4%で過半数を占めており(今年は29.7%)、この1年で「横ばい」から「伸長」に転じる企業が増えていることがわかる。

 大手本舗メーカーの相次ぐ工場閉鎖などを受け、OEM各社には追い風が吹いているといわれる。また、新たに化粧品事業に参入する動きも依然として衰える気配がなく、OEM各社がその受け皿となって取引先や受注量を増やしている。

 「伸長」と回答した企業にその要因を尋ねると、「取引先が増えた」(58.1%)、「既存顧客からの受注が増えた」(54.8%)といった声が多く寄せられた。

 ただ、その伸長率を分析すると、少し違った事情も見えてくる。

 昨年は「10%以上」が18.8%あったが、今回は14.8%に低下。その分、「6~10%」の回答が9.3%から22.2%へと大幅に上昇したほか、「1~5%」も12.5%から14.8%に高まっている。

 日本経済全般に共通するように、今期は消費税増税が各社の業績に影響を与えている。個人消費が想定以上に伸び悩むなど増税の影響はいまだに尾を引いており、不透明な経済事情が各社の業績を微妙に狂わしているのかもしれない。

 今年は昨年の調査と比較して「伸長」が増加、また「横ばい」が減少した中で、「後退」と回答する企業が昨年の0社から3社(8.1%)へと増えたことにも触れておきたい。

 それでも全体の僅かな割合にすぎないが、やや深読みすれば業績の「二極化」がじわじわと進行していると分析できなくもない。

 市場に出回る商品数は拡大する一途だ。膨大なアイテム群の中から、際立ったコンセプトや特徴的な効果をどう打ち出せるかが成否の鍵を握っている。そうなると必然的に、独自の処方技術などを持つOEM企業が重宝されることになる。

 また、消費者の安全・安心への意識はかつてないほど高まっており、それを担保できる品質管理体制を整備している企業も自ずと限られてくる。

 いずれも容易に実現できることではないが、その努力を怠ればコスト競争にさらされ、ゆくゆくは淘汰される危険性が潜んでいる。

 こうした「二極化」を予期する声は、以前から一部の関係者の中で指摘されていたことでもあった。今後の動向を注視する必要がありそうだ。

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