C&T 2015年6月15日号 48ページ
「エイジングケア&保湿」をテーマにした際、日本の全女性人口に占める「50歳以上女性」の構成比が数年後には過半数を超えるという見通しを無視することはできない。
化粧品市場もまた2013年の段階で、50歳以上の金額構成比が約47%だったと報告した企業があるように、すでに市場の半分が50歳、60歳代の消費活動により形成されている。
さらに、いわゆる「団塊ジュニア世代」が40代半ばとなれば、化粧品メーカーの成長は、40代以上、さらに言えばシニア世代の女性をいかに獲得し、ロイヤルユーザー化できるかにかかってくる。
シニア世代の女性に理解しやすい商品特徴・設計、宣伝広告とともに、使って実感できる確かな美容効果で鎬を削ることになる。
訴求ポイントの中核となるであろう「エイジングケア」に関しては、その広義な意味合いから、様々な切り口から肌の老化を捉えた研究開発が進められているが、前提として、化粧品の新効用として追加された「乾燥による小じわの改善」が認められたデータを揃えておく傾向が強まってきている。
ここ数年の間に注目されてきたエイジングケア機能の一つに「抗糖化」があるが、成分に備わる「抗糖化作用」は、実際に消費者に伝えるとなると説明が難しいとの声がブランドメーカーサイドから聞き漏れてくれば、シワ、シミ、たるみといったエイジングサインへ直接的に訴えかけるようなデータを持つ機能性成分を求めていると言っていいだろう。
一方で、その機能性の標榜に関しては、行政が目を鋭くする美容・健康食品分野の煽りをうけてか、ファブレス企業の化粧品の開発・製造を請け負うOEM関係者は「特にTV通販系の化粧品では、機能性に対するエビデンスデータなどの提出書類が増え、表現の制約も厳しくなっている」と話す。原料各社は、より川下のニーズに応えられるデータの収集力も問われてきている。
人口減少にともない、化粧品市場は着実に縮小に向かうという長期展望を受け、市場競争で勝ち抜くため、より本物を追求しようという意識が高まってきた印象がある。その中で、各種試験において美容効果が認められた推奨量(濃度)を配合した化粧品が市場に増えてきていることは、原料各社にとっては明るい材料になってきている。
(掲載企業一覧=セティ、岩瀬コスファ、DKSHジャパン、三省製薬、日光ケミカルズ、一丸ファルコス)
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