「フルフル」は1973年6月、平塚駅直結のショッピングビル「ラスカ平塚」のオープンと同時に出店した。オープンしてから42年の間に何度も改装工事を行い、それに合わせて同店も6回の移転を繰り返した。そのたびに店舗が縮小し、開店当初13坪前後あったという床面積は今や10坪弱になってしまった。しかし、それでも月に1200人超の来店があり、盛況だ。
同店には先日行われた資生堂主催の「第3回NCCコスメティック甲子園」の首都圏エリア予選を勝ち抜いた美容部員が在籍するなど、技術力に関しても定評がある。コンパクトな店舗でいかに集客を行うのか、その極意についてインタビューした。
競合に囲まれ独自路線が必然に
半顔スキンケアでリピート好調
計6回の移転・改装により開店当初の10分の1未満の10坪という店舗面積になってしまった同店では、資生堂をメインブランドに、マックスファクターとMD化粧品を扱っている。
さらに、「ラスカ平塚」の方針で、同じカテゴリーのテナント店を1つのフロアに凝縮する傾向にあり、同店の真隣に化粧品専門店の「ミノヤ」が、目の前にはドラッグストアチェーン店の「トモズ」があるという不思議な構造になっている。
幸いにも「ミノヤ」はアルビオンやコーセーを扱っており、客層は異なるためお客をとりあうことはあまりないが、向かいにある「トモズ」が取り扱いブランドなどで競合している状態だ。ドラッグストアのように値引きや品数で競うのでは勝つことができない。そのため、同店ではとことん化粧品専門店だからこそできる活動に専念している。
その1つがマッサージだ。資生堂「ベネフィーク」や「クレ・ド・ポー ボーテ」、マックスファクターの「SK―Ⅱ」の各マッサージコースを積極的に提案し、お客の肌に触れることで距離を縮めている。特にベネフィークエステは施術後の実感値や満足度が高いため、再来店につなげやすいという。
さらに、セール期間中は1人ずつに向き合って時間をかけてカウンセリングをすることが難しいため、毎月異なるサービス券を渡して次回の来店を促す工夫もしている。
先月はレッスン式のマッサージが受けられるサービス券を配った。これは、「半顔メーク」のように半分だけ見本としてスキンケアを行い、残りの半分はお客自らが実践し、正しいスキンケア法を覚えてもらうものだ。チケットには有効期限と所要時間が明記してあり、忙しい女性もスケジュール調整がしやすいため、回収率が高いという。
加えて、レッスンを受けるとその時に使った化粧品の購入率が高くなる。スキンケアの基礎を学びたいと思う女性も多く、幅広い世代のお客が来店するという。