ジャパン・コスメティックセンター、コスメクラスターとしての新たな段階へ

週刊粧業 2019年7月29日号 4ページ

ジャパン・コスメティックセンター、コスメクラスターとしての新たな段階へ


九州地方発のコスメ・美容製品を
売場と連携しつつ国内外に発信

 2年前からスタートし、今年も5月に開催されたハナマルシェは、「つくり手とつかい手」がつながる発見と出会いの場として、今回、手作り化粧水のワークショップやシルクスクリーンプリント、ヘアケアデモンストレーション、ロールオンアロマ作りなど、様々な体験ができるコーナーが用意され、賑わいを見せた。

 そのほか、オーガニックコスメなどが集まるビューティエリア、旬の有機野菜や雑貨などが集まるマルシェエリア、トークショーやアクティビティが行われるステージなど、幅広い催しが行われた。

 同イベント開催のきっかけは、放棄遊休地・未利用資源から新たな産業を生み出すプロジェクトだという。

 JCCは過疎化による耕作放棄地を活用した作物の栽培やそれを原料とする化粧品の企画サポートを行っている。各地域は農業や福祉、人口問題など、様々な社会課題を抱えている。

 こうした問題に対し、化粧品産業としてアプローチしていくこの取り組みは、全国的に増えている。今年、全国のこうした取り組みを集めた書籍「社会派化粧品」が出版された。自然資本や社会資本といった、貨幣だけではない新しい経済や社会のあり方を模索し、実践している全国の実例がまとめられている。

 そのほか、地域素材を活用した取り組みとして、6月には「九州ビューティアワード」を企画した。

 第8回福岡国際ビューティ・ショー2019の九州ビューティーフェアでスタートしたこの取り組みは、化粧品産業の盛んな九州地方発のコスメや美容製品を売場と連携しながら国内外に発信していく。

 九州地方では、大小様々なOEM、化粧品メーカーが拠点を構えている。県や市区町村、業界も超える九州全体でのつながりが強まる中で、九州ビューティーへの期待は大きい。

商談会等を通じた交流促進
海外企業の誘致も積極的に

 5カ国(フランス・イタリア・スペイン・タイ・台湾)のコスメティッククラスターと連携を結ぶJCCは今年度、アットコスメ台湾と共同で、10月~11月に台湾テストマーケティングに取り組む。日本の化粧品へのニーズも高いという台湾は、国内からも進出を希望する声が多いという。

 この取り組みを通じて、台湾消費者のニーズや思考を捉え、台湾を拠点に中国やアジア地域の市場にアプローチしていくことを目的としている。

 また、昨年度はASEAN周辺諸国を中心に、商談会等を通じた交流を促進してきた。JCCは設立当初から行ってきたフランス・EU諸国との関係構築などにより、日本から世界へ製品が輸出されていく仕組みづくりを行ってきた。

 地域原料・商品の海外販路拡大のため、海外市場に販路を持つバイヤーとの商談会や営業活動に取り組んでいくほか、海外企業の誘致を目的とした、台湾でのPRセミナーの開催などを行っていく。

 「海外との連携を活かし、さらに海外諸国との協同を強めることで、国内のスタートアップ企業などを海外へ積極的に発信していき、技術や人の交流をさらに盛んにしていきたい」(佐賀県ものづくり産業課コスメティック構想推進室 西島俊太郎氏)
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