ポーラ化成工業の松尾研究員、化粧品メーカーとして初の快挙

粧業日報 2020年2月12日号 3ページ

カンタンに言うと

  • 日本油化学会「ヤングフェロー賞」と関東支部「若手研究者奨励賞」をW受賞
ポーラ化成工業の松尾研究員、化粧品メーカーとして初の快挙
 ポーラ化成工業の松尾一貴研究員(製品設計開発部 内容物開発センター)はこのほど、研究テーマ「水相の結晶状態に着目した、O/W型クリームクレンジング(多量の油滴が少量の水相に閉じ込められた水中油型のエマルション製剤)の安定化(New Stability Conditions of Cleansing Cream: The importance of polymorphic form)」で、日本油化学会「ヤングフェロー賞」と、同関東支部「若手研究者奨励賞」をダブル受賞した。

 受賞にあたっては、学会で発表した「新感触を生むクレンジング製剤の安定化技術」の構築にて、若手研究員の模範となったことが評価された。

 ダブル受賞は同学会で2年ぶり、化粧品メーカーとして初の快挙となった。

 従来の界面設計では、肌になじませるときに「コクのあるクリームが肌上でオイルのように変わる」独特な使用時の変化感を追求しようと、卵の殻にあたる界面を薄くもろくしてしまうと、界面が衝撃に弱くなり製剤の安定性が損なわれ、保管時に簡単に分離してしまうという課題があった。

 こうした課題をクリアすべく、急激な使用感の変化がありながらも、安定性に優れた製剤の開発に挑戦。柔軟性のある風船のような界面にし、粘性を高めることで、弱い力では簡単に割れず、ある一定の力が加わると一気に破裂するクリームクレンジングの開発にこぎつけた。

 この新たな着想により生み出されたクレンジング化粧料は、クリームからオイル状に急激に変わる使用感と安定性との両立が特徴で、今までより数段変化が急激であることから驚きと感動がともなう使用感を引き出すことに成功しているという。

 同社では、この革新的な技術を、クレンジング化粧料にとどまらず、あらゆる製剤において新たな驚きのある感触カテゴリーの創出に活用していく。
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