ホシケミカルズ、発酵成分を濃縮した「熟成酒粕」エキスを提案

C&T 2021年12月15日号 24ページ

ホシケミカルズ、発酵成分を濃縮した「熟成酒粕」エキスを提案
 化粧品原料商社として1975年に創業し、化粧品OEMや容器製造なども手がけるホシケミカルズでは、サステナブルやアップサイクルなどのSDGsに関連するヘアケア原料へのニーズが高まっていることから、老舗酒蔵の発酵技術から生まれた純国産のエコサートコスモス登録原料「熟成酒粕エキスKOHAKUYUKI」(製造元=高研)の提案に注力している。

 2021年9月に発売した同原料は、広大な庄内平野を有する日本屈指のお米の産地として知られ、日本初のユネスコ食文化創造都市に指定された山形県鶴岡市に生産拠点を置く高研と、同市で400年以上の歴史を持つ老舗酒蔵・渡會(わたらい)本店が共同開発した原料である。

 日本酒の製造工程において濾した後の副産物である酒粕を江戸時代より受け継がれる伝統製法によって低温で約1000時間以上、丁寧に2段階発酵させた「熟成酒粕」がベースとなっている。

 出来たての酒粕から取れるエキスは無色透明であるのに対し、溶剤や薬品を一切使用しないナチュラルな抽出法によって熟成酒粕から得られるエキスは美しい琥珀色になるという。

 これは、熟成により発酵由来成分が濃縮され、豊富に含まれた証であるといい、このエキスを化粧品に配合しやすい仕様に仕上げたものが「熟成酒粕エキスKOHAKUYUKI」となる。

 なお、未熟成および熟成酒粕の成分解析を行ったところ、熟成過程を経ることで、酒粕に含まれるアミノ酸や有機酸、コウジ酸のほか、肌バリア機能を整えるグルコシルセラミド、コラーゲン産生を促すα-EGの含有量が増加することがわかったという。

 ヘアケアの有効性については、熟成酒粕エキスKOHAKUYUKIを塗布することによる、毛髪表面の補修効果と毛髪洗浄時のダメージ抑制効果がそれぞれ1%配合で確認された(図1)

 また、配合量を調整することでもちもち感や弾力のある泡、キメ細かく重みのあるしっとりとした泡など、泡の感触をコントロールすることが可能だ。

 実際に、泡立ち改善の試験では熟成酒粕エキスKOHAKUYUKIを1%配合した石鹸を泡立てると、コントロールと比べてキメ細かく、へたりにくい泡質が得られた。

 密着泡と弾力性の試験では、熟成酒粕エキスKOHAKUYUKIを配合した洗顔フォームを泡立て、板の上に泡を並べて傾けた75秒後の泡の様子と、泡の上にコイン(2g)を置いて30秒後の泡の弾力性を観察した。

 その結果、濃度依存的に泡の密着力が高まり、3%配合で泡弾力がアップしていることが確認された。



 「これらは石鹸や洗顔フォームでの泡質改善効果のデータだが、シャンプーにおいても同様の効果が期待される。『熟成酒粕エキスKOHAKUYUKI』は含有するアミノ酸のうち、62%がNMF成分で組成され、髪だけでなく肌にもトータルでケアできる。頭皮も顔の一部であり、毛髪だけでなく頭皮の乾燥ケアにもアプローチするアップサイクルな高機能ヘアケア原料として注目している」(伊東大輔営業推進部原料営業グループ係長)

 スキンケアの有効性については、熟成酒粕エキスKOHAKUYUKIを1%配合した培地をヒト表皮角化細胞に添加し、48時間培養後、リアルタイムPCR法により遺伝子発現量を解析した。



 その結果、肌バリア・保湿機能に関するフィラグリン、ヒアルロン酸合成酵素、セラミド産生酵素の遺伝子発現量を増加させる効果が確認された(図2)

 「熟成によってエネルギー代謝のもとになるアスパラギン酸や、コラーゲンの原料となり肌の潤いに関与するプロリンなどが大幅に増加し、熟成酒粕の持つ豊富な美容成分が肌と髪にトータルで働きかける。原料商社でありOEMメーカーでもある当社としては今後、『熟成酒粕エキスKOHAKUYUKI』を用いたヘアケア・スキンケア製品の開発を進めていきたい」(伊東氏)
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