化粧品・医薬部外品、健康食品分野で機能性原料の研究開発を行っている一丸ファルコスは、口腔ケア専用の天然由来エキス「ミルテクト」（医薬部外品表示名称：海藻エキス（4））の販売を今年3月より開始した。
口腔ケア製品専用原料の開発・販売は同社初となる。オーラルケア市場は、健康意識の高まりとともに、高機能化が進み、成長拡大を続けている。近年は顔の印象に関わる部位として化粧品メーカーの参入も増えている。
口腔トラブルの原因となるバイオフィルム（デンタルプラーク）の内部には、口腔細菌が大量に存在しており、口臭やむし歯などの口腔トラブルの原因となる。このプラークは、一旦形成されると抗菌剤や免疫細胞から内部の口腔細菌を護ってしまうため、唾液やうがいなどでは除去されない。口腔内を清潔に保つには、バイオフィルムの形成を予防して、口腔細菌が繁殖しにくい環境に保つことが重要となる。
「ミルテクト」は、ミル（海松、Codium fragile）を中心とした海藻より抽出された天然由来エキスで、S.mutansなどの初期付着菌の歯面への吸着を阻害し、口腔トラブルの原因となるバイオフィルム（デンタルプラーク）の形成を抑制することで、口臭や歯の着色（ステイン）汚れを防ぐ。
既存の有効成分（抗菌剤）との相乗効果も確認され、製剤の機能性向上が期待できる。抗菌剤CPC（塩化セチルピリジニウム）などとの併用で抗菌効果が大きく向上することを確認している。
同社は、既存の口腔ケア有効成分との相乗効果を示すデータとともに、ハミガキや洗口液の処方製剤の提案も取り入れている。化粧品会社を中心とした既存顧客からは、天然由来のオーラルケア原料であることにも興味を示され、「洗口液を中心に関心を持っていただけている」（同社）という。
6月3～4日に開催された「第65回春季日本歯周病学会学術大会」では、研究発表と企業展示にて「ミルテクト」を紹介し、成分の特徴理解を深めた。今後も学会などでの意見交換を通じて、口腔ケアの研究開発を推進していく計画だ。
