アルビオン、沖縄固有種「カーブチー」の機能性果皮エキスを開発

粧業日報 2022年12月6日号 5ページ

アルビオン、沖縄固有種「カーブチー」の機能性果皮エキスを開発
 2021年に沖縄研究所を設立以来、多様性に富んだ沖縄由来植物の化粧品原料化に取り組むアルビオンは、沖縄固有種である柑橘「カーブチー」の果皮エキスの開発に着手し、恵比須化学工業と上智大学とともに、カーブチー果皮エキスの機能性を追求した共同研究を実施して、このほど、その機能性成分を最大限に活かした果皮エキスを開発した。

 カーブチーは、野生の特徴を残したまま息づいている沖縄固有の柑橘で、フレッシュな香りと酸味の少ない素朴な味わいが特徴となっており、県内で収穫される全柑橘類の収量のうち1%に満たない希少な柑橘でもある。

 今回素材として使用したカーブチーは、世界遺産にも登録されたやんばる地域で栽培されたもので、ジュースとして搾汁された後の残渣を利用している。通常、搾汁残渣は廃棄されてしまうが、それらをエキス化することで高付加価値化して有効利用するアップサイクルが可能になった。

 これまで化粧品原料としてカーブチー果皮エキスが作られた事例はなく、今回が初めての試みになるという。

 ポリメトキシフラボン類に代表される機能性成分が豊富に含まれるカーブチーには、様々な肌効果が期待できることから、今回の果皮エキスの試作は、このポリメトキシフラボン類の抽出率に注目して行った。

 まず、エキスの成分を溶かし出すためのいくつかの溶媒を用いて、カーブチージュース搾汁残渣中の果皮から成分抽出を試みた。この検討により、効率よく機能性成分を得る溶媒を特定することができた。

 次に、果皮エキス中の成分抽出率への抽出温度の影響を確認した。その結果、温度が高くなるほど成分の抽出量が高くなることがことが判明し、溶媒や温度を変化させることで、カーブチー果皮の機能性成分を最大限に活かしたエキスを抽出できることが明らかとなった。

 上智大学での共同研究データをもとに試作した、カーブチー果皮エキスの2つの機能性が抗酸化作用(ABTSラジカル消去活性)と抗老化作用(エラスターゼ阻害活性)で、ウンシュウミカン果皮エキスやシークワーサー果皮エキスの一般品と比較して高い効果があると確認できた。これらの機能性にはエキス成分のナツダイダイン、ノビレチンやシネンセチンが強く寄与していることもわかった。

 今回の共同研究により、カーブチー果皮エキスの機能性を引き出す製法と肌効果に寄与する成分を明確にすることができたことから、その成果をもとにカーブチー果皮の有効活用を推進するとともに、製品開発へとつなげていく。
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