木村産業は、化粧品・トイレタリー製品の市場性や安全性、安定性や経済性に配慮した基剤・副原料・添加剤・香料などを技術情報とともに提供し、ニーズに沿った原料の開発に務めている。
木村貞勝社長に話を伺った。
――2022年を振り返っていかがでしたか。
木村 2022年は、コロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻の影響で値上げと在庫確保に追われる一年となった。
当社でもウクライナ発祥の原料やヒマワリオイルなどで影響を受けたが、在庫を潤沢に確保することで対応し、単価上昇の影響もあり、業績は昨年よりもアップした。
営業活動では、マーケティング面を強化することに注力した。もちろんこちらから顧客に働きかける営業活動も重要だが、顧客側から来てもらえるような仕組みづくりを行っている。
実際に、ホームページを変更し、より充実させたところ、問い合わせをいただくことが増えるなど成果も出ている。ほかにもニュースレターやインスタグラムも行っており、今後もさらに注力していく。
もう一つ大きなトピックとしては、昨年4月に藍綬褒章を受章した。
――今後の注力施策を教えてください。
木村 環境配慮の流れは大きく、当社でも積極的に取り組んでいる。
実際の取り組みでは、RSPOの理念に賛同し、2019年5月より環境に配慮した持続可能なパーム油の販売をスタートさせている。2020年2月にはRSPOのディストリビューターライセンスを取得し、より一層の普及に努めている。
当社が取り扱うプロビタル社でも環境・貧困問題に取り組んでいる。
プロビタル社はCOP10で締結された名古屋議定書に準拠した化粧品原料を発売した、世界初の化粧品原料メーカーである。メキシコ中部の大学と提携し、現地先住民の貧困を削減するための取り組みを行っているが、それが評価され、国連が貧困を削減するための優れた取り組みを表彰するエクエイタープライズの受賞経歴も有している。
また、「ETHICSKIN」も同議定書に準拠している。アジア人を含む4種類の人種でIn vivo試験を実施し、メキシコ産の花、アルニカに含まれるフラボノイドが、保湿・炎症・シミなどに関連する遺伝子の発現を調節することで、シワを軽減、ハリのある、明るく、艶のある肌に導く原料である。また、同原料はビタミンCと比較して、有意性のある抗酸化作用、ニコチンアミドと比較して有意性のある抗糖化(AGE)力の試験データを有する。
今後も、各種認証の取得にも注力していく方針で、現在主流になりつつある「環境」「労働と人権」「倫理」「持続可能な資材調達」の4分野で企業のCSR方針や施策、業績を評価する「EcoVadis」認証の取得にも積極的に取り組んでいく。