ライオン 掬川正純社長 2023年新春インタビュー

週刊粧業 2023年1月1日号 38ページ

カンタンに言うと

  • 「3つのE」をバランスよく備えていくことに挑戦
  • オーラルケア・リビングケアで価格ゾーンの上位シフトに成功
  • グループ全体の売上成長に手応え、海外事業が牽引
  • 働き方改革の大転換が本社移転の真の狙い
ライオン 掬川正純社長 2023年新春インタビュー
「3つのE」をバランスよく備えていくことに挑戦

 ライオンは、2023年度より新たな経営戦略をスタートし、より良い習慣づくりには「Positive Habits(前向きな習慣)」が欠かせないという考えのもと、「Reluctant to-do(やらなければいけない気が進まないこと)」をポジティブな気持ちへと転換すべく、ファブリックケアやオーラルケア分野を軸に、3つのE(Effective、Emotional、Ethical)をバランスよく兼ね備えた商品の投入を進めていく。

 2022年の動向と2023年の展望について、掬川正純社長にインタビューした。

オーラルケア・リビングケアで
価格ゾーンの上位シフトに成功

 ――まずは、2022年を振り返っていただけますか。

 掬川 最大のトピックスは、原材料高と円安です。想定を大きく超えてしまったこともあり、第3四半期決算(1~9月)は、売上が順調に拡大する一方、利益面では厳しい結果となりました。

 次年度以降についても、原材料高、円安の水準については最悪の状況を脱しつつあるものの、元の状態に戻るには相当時間がかかると考えています。想定し得る3つのシナリオを用意し、それぞれが現実に起こった場合でもしっかりと対処できるよう準備していきます。

 一方、「ウィズコロナ」「人々の健康意識の高まり」「サステナビリティ」の3つが大きなテーマになってきています。

 日本を含むアジア各国では、ウィズコロナ時代に対応し、感染予防と経済の活性化の両立が進むなど、いい流れになってきました。ウィズコロナ時代に入ったことで、手指消毒剤やハンドソープの売れ行きに多少影響がみられますが、それ以上に健康意識が高まった状態が継続したことでオーラルケア商品が好調に推移しています。今後のウィズコロナ時代においても、健康意識の高まりは継続していくことが期待できます。

 サステナビリティに関する意識の高まりも顕著になってきました。地球温暖化による気候変動がより身近なものになってきており、これまでとは違うレベルでサステナビリティ施策が企業に求められるようになってきています。22年は、こうした傾向がより鮮明になってきました。

 23年以降も、それらの状況が下火になることは考えられず、当面は継続することを前提にこの先の事業を考えていかねばなりません。

 ――事業全体を振り返っていただけますか。

 掬川 全体的には、コロナ特需が一巡し、手指消毒剤やハンドソープの需要に落ち着きがみられるものの、健康意識の高まりにより、主力のオーラルケア分野が高い成長率で推移するなど、トータルでは想定以上の売上成長が実現できています。

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