花王 長谷部佳宏社長 2023年新春インタビュー

週刊粧業 2023年1月1日号 36ページ

カンタンに言うと

  • グローバルでの事業拡大には未来のいのちを守ることが不可欠
  • 唯一無二の事業をつくり上げグローバルにおいて成長を図る
  • タイで発売した蚊よけ製品が「ESGよきモノづくり」を体現
  • 今まで手つかずの取り組みをほぼ全てやり抜くことに挑戦
花王 長谷部佳宏社長 2023年新春インタビュー
グローバルでの事業拡大には
未来のいのちを守ることが不可欠

 花王は、中期経営計画「K25」において、「未来のいのちを守る」企業への変革と発展に向け、「持続的社会に欠かせない企業になる」「投資して強くなる事業への変革」「社員活力の最大化」に取り組み、既存事業の再生をめざす「Reborn Kao」と、新事業の創成をめざす「Another Kao」両輪による改革を推進している。

 これまでも花王は長い歴史の中で、原料高や感染症拡大という苦境に見舞われながらも「変革を図ることで苦境を乗り超え、より強くなってきた」と語る長谷部佳宏社長に、2022年の動向と2023年の展望について話を伺った。

唯一無二の事業をつくり上げ
グローバルにおいて成長を図る

 ――まず、2022年の市況や事業を取り巻く環境の変化について振り返っていただけますか。

 長谷部 原材料価格は21年末頃から上昇しはじめ、22年1月にはその影響が顕著に出てきましたので、2月の決算説明会において戦略的値上げに不退転の決意で取り組むことを発表しました。トイレタリー領域において幅広く事業を展開する企業として、業界を先導する役割を認識し、先兵となって値上げを実施しましたが、これが呼び水となり、競合他社においても様々な形で動きがありました。

 トイレタリー領域において原材料高の影響を出来る限り減じるという意味で、決意を示したことはよかったと思っています。

 それ以降も、原材料価格高騰の勢いはとどまることなく、油脂価格が下がればパルプが上昇するといったように、種類や品目を変えつつ、その厳しさは今も全く変わっていません。そういう意味では、2023年も前半は少なくとも価格が高い状況は維持されると見ています。

 一方、明るい材料は、新型コロナが収束に向かい始めているということです。中国でもゼロコロナ政策がようやく緩和されるようですし、日本でも穏やかな対策で感染症と共存する出口戦略が模索され始めています。出口をきっちりと示し、日常生活を取り戻すことができれば、日本は最も死者を出さずにコロナを乗り切った国になる可能性があります。

 当社にとってコロナと原料高の業績に与えるインパクトは大きく、過去を振り返っても、様々なリスクにさらされ、業績が落ち込むこともありました。しかし、そのたびに社内に変革が起こり、会社として強くなっていきました。そういう意味では現在、体質改善や構造改革がものすごい勢いで全社一丸となって進んでいます。

 ――事業全般のトピックスについてはいかがですか。

 長谷部 コロナ禍においては日用品の需要が底堅い一方、マスク生活が続き、リモートワークが定着化したことで化粧品の需要は低迷し、業績的にはかなりの影響を受けました。一方、当社の事業で最も海外売上比率が高いケミカルは好調に推移し、コロナ禍にあって成長を遂げています。

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