DCアーキテクトが運営する薬事法広告研究所は3月1日、独自開発したAI自動化ツールを活用し、薬事広告に関する文章のリスクワードをチェックするだけでなく、リライト案まで提案する新サービス「機械良文」(β版)の提供を開始した。β版は無料で、利用回数の制限なく化粧品の薬事広告に関する文章(200文字、テキストのみ)をチェックできる。
同社では今後、テキストに加えて画像やURL(ランディングページ等)にも対応した有料版(月額制、最大5000文字まで)を5月にローンチするほか、化粧品以外に健康食品にもカテゴリーを順次広げていく方針だ。
「機械良文」の開発に至った経緯と同サービスの概要について、DCアーキテクト代表取締役の鈴木幸治氏と、執行役員 経営戦略担当の松﨑淳氏に話を伺った。
――まずは、開発の経緯についてお聞かせください。
鈴木 化粧品をはじめ、健康食品や機能性表示食品の広告に関する薬事チェック・リライトを主たる事業とする当社では、2007年の設立から着実に依頼件数が増加しており、取引社数が264社で年間依頼件数は1万件を超えるまでになった。
薬事チェックは人手で行っており、すぐに習得できる業務でもなく実践的な経験が必要だ。取引社数や依頼件数の増加に伴い、社員の採用に努めているものの、なかなか人手が追い付かなくなってきた。そこで、社内の業務効率化を図ることを目的に、2021年にAI自動化ツールに着目したのが、開発のきっかけだった。
当初は社内向けのツールとして開発をスタートしたが、進めていく中でメーカーや代理店、制作会社といったBtoB向けの用途に加え、ライターやアフィリエイターなどBtoSmallBにも対象を広げ、広告に携わる全ての人の薬事チェックを支援するツールとして活用できないかと考えた。そして、1年半の歳月を経て、社内向けに先行する形で新サービス「機械良文」が誕生した。
――新サービスは、どのような機能が主なポイントになりますか。
松﨑 機械良文を検討する中でヒアリングを重ねたところ、「料金や仕様面で、個人でも気軽に使えるものがなくて困っている」という声を多くいただいた。また、リスクワードの抽出とその理由の表示だけではなく、その後どのように表現を変えればいいのかリライト案まで提案してほしいというニーズを感じた。
新サービスの「機械良文」は、AIを活用して薬事広告に関する文章のリスクワードを抽出し、このように表現を変更すればいいと具体的なリライト案まで提案できるのが最大のポイントだ。
一例として、「シミが改善する」「肌の奥まで浸透」というリスクワードに対し、「くすみをケアする」「肌の奥(※角層まで)浸透」とリライト案を提案する。
機械良文は、こうしたリライト案を複数提案できる機能に加え、リスクワードを単語だけでなく、全体の文脈を把握して文章のつながりからどういったリスクがあるかを判断する機能も搭載しており、この2つの重要な機能に関しては特許を出願している。
薬事法広告研究所では、2008年から薬事に特化したコンサルティングサービスを展開し、15年間にわたって蓄積してきた薬事チェックとリライトのノウハウがある。これを教師データとして学習させたものが今回のAI自動化ツールの開発に活かされており、AIに学習させるデータを持っていることが我々の強みだ。今後、機能をより充実させ、人間を相手に薬事チェックをしてもらうような感覚で、企業はもとより個人の方にも幅広く活用いただけるよう進化を図っていく。
化粧品や健康食品などの広告でコンプライアンス違反しないために、薬機法や景表法を自ら勉強しても、本当に理解が合っているか確証が持てないといった不安を持つ人も多い。とはいえ、個人のライターが費用を払って弁護士や専門家に相談するというのは現実的ではなく、どの表現なら広告で使えるのかを個人で判断するのは難しい。そういった課題に対し、我々のソリューションを提供することで解決していきたい。
鈴木 機械良文のサービスを活用することで、薬事広告のチェックと書き換えにかかる時間はもとより、学習時間も大幅に短縮することが可能になる。そこで生み出された新たな時間を、他のクリエイティブな生産性の高い業務に振り分けることで、ビジネスのさらなる成長が期待できるだろう。