花王は、ほこりや花粉などの微粒子の肌への付着を抑制することにより、肌にものが触れることに対して敏感意識のある肌で、5Hzの電流知覚閾値(いきち)(CPT値)が高くなり、刺激感を感じにくくなることを確認した。今回の研究成果は、第5回 日本フォトダーマトロジー学会 学術大会(2022年11月18~21日・東京)にて発表した。
空気中には、ほこりや花粉などの目に見えない微粒子が浮遊しており、これらの微粒子の肌への影響として、肌がくすんで見えたり、肌あれなどのトラブルが生じたりすることがある。
特にバリア機能が低下している肌では、大気汚染物質が肌に付着するとかゆみを感じやすい状態になるという報告もある。また、日本、中国、タイにおいて肌が敏感という意識がある人に行った調査では、花粉、大気汚染も肌が敏感になる要因の1つと考えられていることがわかった。同社は微粒子の肌への付着を抑制する技術を開発しており、今回は、この技術の肌への影響を検証した。
肌の敏感さを評価する指標としては、角層バリア機能(水分蒸散量/TEWL)や電流知覚閾値(CPT値)が知られている。そこで、肌に外部因子が触れることに対する敏感意識を調査(20~49歳女性40名、2019年9月)したところ、大気汚染によって不快を感じる、接触刺激による不快感が気になるなどのスコアが高い人ほどCPT値が低いという相関があることがわかった。一方、一般的な乾燥性敏感肌の指標であるTEWLと接触敏感意識との相関はみられなかった。
同社は、花粉や微粒子などの外部刺激により不快を感じると回答した20~49歳の女性87名に、花粉や微粒子の飛散が多い3~4月に4週間、微粒子付着抑制率64%の試験品または3%の対照品を継続して使用してもらった。その結果、肌が敏感な人ではムズムズとしたかゆみに感じる程度の電流周波数5HzのCPT値において、試験品を継続使用したグループは頬と目元のどちらの部位でも有意に刺激を感じにくくなっていた。
今回の検討結果から、接触刺激を感じやすい肌に対して、花粉などの微粒子の付着を抑制すると刺激感を感じにくくなる可能性が示された。