一丸ファルコス、「肌の明るさ」に着目し多角的な研究開発を推進

C&T 2023年3月15日号 36ページ

2023年4月3日 10:00

C&T 化粧品原料メーカー

カンタンに言うと

抗糖化など幅広く提案

　機能性原料の研究開発メーカーである一丸ファルコスは、天然植物を主とした新規原料の開発に加え、既存原料で肌への新たな有効性を見出す研究を進め、配合する製品の高機能化･付加価値化をサポートしている。

　美白･サンケア領域では近年、「肌の明るさ」に着目して多角的に研究開発を進めており、今年5月にパシフィコ横浜で開催される「第11回化粧品産業技術展:CITE JAPAN2023」では、肌の透明感に着目した新規原料を紹介する予定だという。

　ここでは、近年引き合いが増えているブライトニング素材「マンダリンクリア〈チンピエキス〉」、抗糖化素材「アブソレージ〈セイヨウオオバコ種子エキス〉」、ソフトピーリング素材「FMエキスLA-B」の3原料を紹介する。

　「マンダリンクリア」は、角質細胞1つひとつにハリを与えることで表面を整え、皮膚深部からの内部反射光（肌の色として認識される光）を増やし、肌に奥ゆきのある透明感を与える。

　肌は、角質細胞の表面が粗いと、光を十分に反射できずにくすんで見えてしまう。透明感のある肌は、角質細胞の表面が整い、光を多く反射できるため、肌の明るさを引き出すことができる。

　ヒトモニター試験では、マンダリンクリア1%配合ローションを1日2回、4週間塗布し、使用前と使用4週間後に採取した角質層を暗視野照明法にて撮影した。4週間後の角質細胞の変化を観察したところ、使用前に比べ、マンダリンクリア塗布により散乱光の減少し、光透過性が向上することが認められた。画像解析においても、散乱光の減少が確認された（図1）。

　また、マンダリンクリア1%配合ローションを同じ試験方法で頬に塗布した場合、使用前よりくすみの減少や、表面のゴワツキの減少が確認され、皮膚の明るさが向上することがわかった。

　マンダリンクリアの研究では肌の透明感の向上の他に、皮膚のバリア機能を守る重要な働きをしているタイトジャンクション形成を促進する効果や、毛包を強化する効果も確認しており、幅広い製品への応用が可能だ。また、由来原料のマンダリンオレンジ（ポンカン）果皮は、果実の缶詰やジュース製造時の副産物を利用しており、アップサイクル素材としても注目されている。

　「アブソレージ」は、くすみの原因となる肌タンパクの糖化（グリケーション）を抑え、老化によるシワや弾力低下を防ぎ、透明感のある肌へ導く抗糖化素材。エイジングスキンケアなどに採用されている。

　生体中に豊富にある糖は、酸化ストレスにより活性化されてタンパク質と結合し、タンパク質を変性させ、その機能を低下させるグリケーション（糖化）を引き起こす。

　皮膚も同様にタンパク質のグリケーションが発生し、コラーゲンなどの皮膚構造タンパク質が糖化されると、皮膚の柔軟性や弾力性が低下するといった老化現象につながる。表皮ケラチンで糖化が起きると、肌細胞の褐変化を招き、透明感を損なうと考えられ、肌透明感の維持にはグリケーションを抑える必要がある。

　各種ケラチンタンパクを用いて、ケラチングリケーションに対するアブソレージの抑制作用を検討したところ、アブソレージに含まれる機能性成分･プランタゴサイドに、ケラチンのグリケーションを強く抑制する作用が認められた（図2）。また、皮膚でグリケーションを起こし褐変化させる物質（タンニング剤）･ジヒドロキシアセトンを用いて皮膚を着色させる試験をしたところ、アブソレージは肌の褐変化を防ぐ効果が確認された。

　アブソレージには、角層でのグリケーションを防いで、老化による肌の透明感の低下を防ぐ効果が期待される。

　発売から30年近くとなるロングセラー乳酸菌発酵乳エキス「FMエキスLA-B」は、刺激が少ない「乳酸」由来のソフトピーリング剤。角質剥離作用やターンオーバー促進作用などのピーリング効果に加え、皮膚のハリ感や柔軟さが向上する皮膚柔軟化作用も確認されている。

　ピーリングは、肌のターンオーバーを正常に整え、くすみや乾燥、たるみなど様々な肌トラブルの解消につながるが、肌への負担がかかるため、日常的に使用するスキンケアアイテムへの配合が難しいとされている。

　FMエキスLA-Bは、肌への負担が少ないピーリング素材として知られる「乳酸」を多く含む一方、乳由来の糖やアミノ酸がリッチに存在するため、高配合しても肌への刺激が少なく、体感値の高い処方を実現できる。普段のスキンケアアイテムにも高配合できるピーリング剤として、これまでに様々な化粧水や美容液、クリームなど様々なスキンケアアイテムに採用されている。