AppBrew、健全な美容プラットフォームの確立めざす

C&T 2023年9月15日号 28ページ

2023年9月26日 12:00

C&T 化粧品周辺領域企業

カンタンに言うと

憧れる人ではなく、身近な人の共感できる情報が重視される傾向に

　国内最大級の美容プラットフォーム「LIPS」を運営するAppBrewでは、景品表示法の改正に基づきステルスマーケティング（以下、ステマ）が規制される以前から、クチコミマーケティング（WOMマーケティング）が健全に行われるためのルールを定めたWOMJガイドラインの遵守をはじめ、ユーザーへの啓蒙活動やUI改修など、ユーザーやブランドにとって健全なプラットフォームの運営を行うための取り組みを徹底してきた。

　2023年4月にWOMマーケティング協議会へ加盟した同社では現在、ブランド･メーカーから商品の提供を受け、クチコミ創出を目的としたサンプリングにより生まれたLIPSユーザーのクチコミに対し、関係性明示タグ（購入品･提供品）が正しく挿入されているか徹底したチェックを行っているほか、LIPSへの投稿を促す外部モニターサイト等による悪質な投稿の取り締まりを強化している。

　「購入予定がなかった人でも、SNSのあらゆる場面で商品との接触頻度が高まると、購買へとつながるきっかけになる。このため、当社としてはSNSマーケティングにおいて様々な角度から消費者へ商品をアプローチしたいというブランド･メーカーさんのニーズに応えるべく、LIPSだけにとどまらず、InstagramやＸ（旧twitter）などSNS全体でクチコミを醸成するマーケティング支援に注力している。サンプリングはその一例で、美容プラットフォームとして最多の88万人を超えるフォロワーを持つLIPSのInstagram公式アカウントと、業界屈指となる34万人超のフォロワーを抱えるＸ公式アカウントでサンプリングを実施し、使用した感想をLIPS内だけでなく各種SNSで投稿してもらうことで、商品認知を高める広告メニューを提案している。サンプリングにより投稿されたこれらのクチコミは、一定期間全件チェックを行い、提供品であることをしっかりと明示している」（鈴木光執行役員）

　ユーザーへの啓蒙活動では、2020年3月よりLIPS編集部による啓蒙記事「ステマって何？｜LIPSに投稿するときに気をつけてほしい3つのこと」をLIPS内にある記事コンテンツで掲載しているほか、ユーザー･インフルエンサー向けのセミナーなども実施している。

　ステマに対する同社の具体的な対策としては、投稿されるクチコミについて毎日チェックを行い、ステマの可能性が高いと判断したレビューや投稿者には投稿削除などのペナルティを課している。

　また、LIPSのアカウントフォロワー数が500人以上など一定の基準を満たす収益制度「LIPSパートナープログラム」に参加するユーザーの投稿においてステマが疑われる場合は、支払いの差し止めを行っている。

　「今後はステマ規制の開始が近づくタイミングで従来の記事コンテンツをよりブラッシュアップし、改めて掲載していく。また、LIPSユーザーの中でも特にコスメ･美容をこよなく愛する『Project LIPS』メンバーを対象に、有識者を招いた新たなセミナーの展開も検討しており、ステマ規制の開始後も定期的にユーザーへの啓蒙活動を継続して進めていきたい」（鈴木氏）

憧れる人ではなく、身近な人の

共感できる情報が重視される傾向に

　2023年6月にLIPSのアプリ内で実施したユーザー調査（n=2403）によると、「SNS上の美容情報に関して発信者の信頼度を判断する際に、フォロワー数はどの程度影響しますか？」という質問に対し、「どちらともいえない」が33.9％で最多となった。

　「影響しない」（13.8%）と「全く影響しない」（8.1%）の2つも合わせると、半数近くの人が信頼度の判断としてフォロワー数が及ぼす影響は少ないと回答した。

　また、「美容情報の発信者で、あなたが1番信頼しているのはどちらのタイプが近いですか？」との質問では、「フォロワー数は関係なく身近で共感できる人」が68.8%、「メガインフルエンサー（フォロワー数100万人以上/芸能人）のような身近ではないが憧れている人」が31.2%という結果となった。

　「今回の調査結果では、ユーザーに身近なマイクロ･ナノインフルエンサーの影響力がより一層増しており、『これならば自分でも真似できそう』と共感できる美容情報がSNSで重視されている様子が窺える。このような傾向を踏まえ、メーカー･ブランドさんがオンラインで展開する販促施策に関しては今後、マイクロ･ナノインフルエンサーを軸にしたクチコミ醸成がますます重要となってくる。美容への関心と発信意欲が高い熱量のあるユーザーが多いからこそ質の高い投稿が生まれており、サンプリング時においては明瞭な関係性明示をユーザーに啓蒙するなど、ステマへの対策を徹底しているLIPSのマーケティング支援メニューを是非活用してもらいたい」（有江さとみLIPS編集部マネージャー）