化粧品・医薬部外品、健康食品分野で機能性原料の研究開発を行っている一丸ファルコスは、2023年11月にタイ・バンコクで開催された化粧品原料の国際展示会「in-cosmetics Asia 2023」(2023年11月7日~9日)にて、天然育毛化粧品原料「BURGEON-UP(HS)(バージョンアップ HS)」(表示名称:オランダカラシエキス)配合製剤が、革新的な機能性原料や処方からなる製剤に贈られる注目製剤賞「Spotlight On Formulation Award」のヘアケア部門で金賞を受賞したことを受け、国内外への提案を強化している(図1)。
「バージョンアップHS」は、「R-spondin1」と呼ばれる器官の発生や組織再生に関わる因子に注目した発毛原料で、男性だけでなく女性の薄毛対策も期待できる効果が確認されている。ヒトモニター試験では、白髪改善効果も確認されている(図2)。今回の受賞は、髪・頭皮の様々な悩みに対応する化粧品原料として注目を集め、高い評価を得た。
「バージョンアップ」としては「BSB Innovation Award2020」の天然原料部門第2位を受賞しているが、今回の「バージョンアップ HS」は、サトウキビ由来の植物性1,3-ブチレングリコール溶液で製剤化したもので、COSMOS APPROVEDに登録されている。また、ハラール認証も取得しており、ワールドワイドで受け入れられやすい原料となっている。同社は、「受賞を機に、毛の成長を促し、かつ脱毛を防ぐダブルの発毛効果をもつヘアケア原料であることだけでなく、白髪改善も期待できる機能性天然ヘアケア原料として、国内外のマーケットでさらなる拡販をしていく」と話している。
ロングセラーのヘアケア原料「グロスフィリンP」では、ヘアカラーに対する有効性データを新たに取得した。グロスフィリンをヘアカラーの後の中間処理や洗浄に用いることで、カラーの染まりを濃くし、色落ちを防ぐ効果が確認された。
「グロスフィリン」は、ポルフィリン誘導体である「ヘマチン」を1%含む原料で、毛髪の感触改良やカラー・パーマなどの補修を促すなどの機能が確認されている。プロユース製品を中心に30年以上の実績があるロングセラー原料で、独特の色味から、近年は市販のヘアケア製剤にも採用されている。
酸化染毛剤の1剤には染料の材料(染料中間体)が含まれており、2剤を混合することで、染料中間体が結合し、発色する仕組みになっている。今回、1剤と2剤を混合した液にグロスフィリンを滴下すると、反応が急速に上がることが確認された(図3)。
また、2剤式のヘアカラーに含まれる過酸化水素水は、染料を発色させるために不可欠であるが、毛髪への残留リスクが懸念されている。グロスフィリンには、過酸化水素の消去作用が確認されており、カラー剤を塗布した後、処理に使用すると染色性の改善が期待できる。日常的に使用するシャンプーやトリートメントへの配合で、色持ちの持続性も高まることが認められた。
永久染毛剤を用いたカラーリング試験では、1%グロスフィリン製剤を中間処理に用いて5分間置いた後、洗浄したところ、1%グロスフィリン製剤は、コントロールに比べ、ヘアカラーの染まりが濃くなり、15時間後の洗浄ではコントロールよりも色落ちを抑えることが認められた。また、中間処理には使わず、0.2%グロスフィリン配合シャンプーで洗浄したところ、コントロールより色持ちを保つことが確認された。
以上から、グロスフィリンは、ヘアカラー施術におけるアフターカラーの中間処理やシャンプー、トリートメントなどへの配合で、ヘアカラーの染まり向上や色落ち抑制に有効であると言える。
また、グロスフィリンは、デイリータイプのシャンプー&トリートメントへの配合により、色持ち持続効果が期待できるほか、毛髪補修効果も認められている。ホームケア用のシャンプー&トリートメントにも適した原料であることから、グロスフィリンを用いたシャンプー&コンディショナーの処方例を紹介して高付加価値化を促し、ヘアケア市場の活性化に寄与していく。