コーセー、メークよれと汗に強いフィックスミストを開発

粧業日報 2024年2月5日号 5ページ

カンタンに言うと

  • 強靭かつ柔軟な皮膜をつくる「架橋型MQレジン」をミストに応用
コーセー、メークよれと汗に強いフィックスミストを開発

 コーセーは、メークよれしにくく、汗や水への強さを向上させたフィックスミスト(化粧くずれを防ぐミスト)を開発した。これは、こすれや汗に耐える強靭さや撥水性をもちながらも柔軟な皮膜を形成できる同社の独自素材「架橋型MQレジン」をミスト剤型に応用することで実現した。

 この研究成果は2月16日発売のフィックスミスト「メイクキープミスト EX +(プラス)」(想定価格:80mL・1320円、35mL・880円)に応用される。

 フィックスミストは、メークの仕上げにミストを振りかけるだけで化粧もちを高められる手軽さと顔全体のメークがくずれにくくなるという機能性から、高いニーズを獲得している。同社では、汗や水に対する化粧もち効果を高めつつ、ミストとしての使用性を両立するため、油/水の2層タイプのフィックスミストを業界に先駆けて開発し、その機能性の高さと使用性の良さから市場を牽引してきた。

 この油層の中に含まれる強靭な皮膜剤は化粧もちに重要な役割を果たすが、一方で成分が凝集しやすい性質があり、時間経過や表情などの顔の動きにより化粧膜が偏ったり、剝がれたりする「メークよれ」が生じる場合があった。そこで強靭でありながら、柔軟で均一な皮膜を形成できる樹脂素材「架橋型MQレジン」をミスト剤型に応用することで機能性の向上を試みた。

 2層タイプのフィックスミストは、化粧もち成分である皮膜剤を含んだ油層と、保湿成分などを含んだ水層を使用時に振って噴霧することで、それぞれの成分が均一に塗布膜になるように設計されている。この塗布膜の均一性が高い方が化粧膜の成分が偏りづらく、メークよれなどの化粧くずれを起こしにくくしている。

 そこで今回、「架橋型MQレジン」をミストに配合し、均一な塗布膜になるように噴霧できる製剤開発を行った。

 同素材は従来の強靭な皮膜剤を紐状構造で繋げることで凝集を抑制し、その柔軟性から負担感を上げることなく、均一な塗布膜を形成することが期待できる。この塗布膜の均一性を検証するため、従来品と開発品ミストを肌上に噴霧し、それぞれの塗布膜を同社で開発した成分マッピング技術にて評価した。その結果、開発品は従来品よりも油性成分と水性成分が微細に混ざり合っており、均一性の高い塗布膜を形成していることが確認できた。

 続いて開発品のメークよれ防止効果の評価を行った。ファンデーションを全顔に塗布した後、半顔のみに開発品を噴霧し、8時間後の外観を評価した結果、ファンデーションのみの側ではほうれい線まわりにメークよれが生じていたのに対し、開発品を塗布した側ではメークよれなどの化粧くずれは見られず、きれいな仕上がりが続いていることが確認できた。

 次に開発品の汗や水に対する化粧もちの指標となる撥水性の評価を行った。水を吸収しやすい紙タオルに対してミストを噴霧した後、顔の表情の動きを模擬するためにタオルを伸縮させ、そこに水滴を落として1秒後の接触角(撥水性が高いほど大きくなる)を測定した結果、ミスト未塗布では即座に水が吸収されてしまうのに対して、ミスト塗布したサンプルでは水を弾いていることが確認できた。

 さらに、開発品は従来品よりも接触角が大きく、高い撥水性を示すことがわかった。これは、開発品の塗布膜が伸縮でもよれることなく、均一に紙タオルをコートできたためと考えられた。

 今回の研究により「架橋型MQレジン」を応用することで、フィックスミストのメークよれや汗や水に対する強さを高めることに成功した。

 このような素材応用や製剤開発は、他の剤型の化粧もち向上にも発展できる技術であることから、今後も顧客ニーズに応える化粧品の機能向上に向けて製品開発を推進していく。

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