これまでのブライトニング素材は、メラニンをコントロールして肌を明るくするアプローチが大半だった。一丸ファルコス(本社=岐阜県本巣市)は、世界的に美白(ホワイトニング)など肌の色を表現する言葉を使用しない方向性にあることから、多様な肌の色にアプローチ可能なブライトニング天然素材として「ジュニパーブライト」の発売を2023年5月から開始している。
生まれ持った肌の色はメラニン色素の量に大きく影響されるが、どのような肌の色であっても加齢により透明感が減少し、肌の輝きが失われていく。これは老化により表皮細胞の光の透過量が低下し、肌内部からの光の反射が減ることで、肌が暗く濁ったように見えるからである。細胞の光の透過に大きな影響を与える一因として、加齢により細胞内に蓄積するリポフスチンという物質がある。リポフスチンは、加齢により細胞内に蓄積し、肌が暗く濁ったように見えてしまう要因となっている。
肌濁り物質・リポフスチンの原因となる酸化変性タンパク質は、細胞内でタンパク質の品質を管理する「プロテアソーム」により分解・浄化されるが、プロテアソームの活性は加齢に伴い低下することが知られている。同社は、この細胞内浄化システムであるプロテアソームを活性化する素材を探索し、外原規適合セイヨウネズエキス「ジュニパーブライト」を製品化した。
ヒト成人由来表皮細胞にジュニパーブライトを添加、培養したところ濃度依存的にプロテアソーム活性が増加し、細胞中のリポフスチンの蓄積も抑制された。ヒトモニター試験では1%ジュニパーブライト配合乳液を4週間塗布することにより、肌の内部反射光の増加や肌の明るさ・黄味改善作用や肌表層の濁り(スキントーンが不均一な部分)の減少作用が認められた。
同社は、さらなる研究で、ジュニパーブライトのオートファジー活性化作用を見出し、リポフスチンの分解にも有効な素材として提案を強化している。
また、毛穴の詰まりは、脂腺細胞のオートファジー不全によって起きることがこれまでの研究で報告・解明されていることから、毛穴ケアにもジュニパーブライトの提案を進めている。
ヒトモニター評価試験も実施しており、1%ジュニパーブライト配合ローションを4週間塗布したところ、コントロールに比べ、毛穴の開き(面積/深さ)が20%改善することが認められた(図1)。
「毛穴悩み」については、マスク生活で需要が顕在化している。同社では、毛穴ケアに着目した美白原料「バイオベネフィティ」(外原規適合、アーティチョークエキス)の紹介を2006年から進めている。
バイオベネフィティは、機能性成分「シナロピクリン」が、肌老化の鍵となるNF-κBの活性化を抑えることで、色素沈着や光老化の予防が期待できる。NF-κBは、紫外線により活性化する老化因子で、同社は、研究を進める中で、NF-κBを抑制することで、毛穴の開き、黒ずみ、たるみの原因にアプローチできることを見出した。毛穴をマルチに改善できる美白原料として紹介を進めている(図2)。
1%バイオベネフィティを用いたヒトモニター試験では、1日2回、肌への連用塗布により、4週間後にメラニン量が有意に減少することが認められた。また、5%バイオベネフィティの試験では2カ月後には目立つ毛穴の個数の低下を確認し、継続使用による毛穴ケア効果も見出している。
バイオベネフィティには、高機能・濃縮タイプとして、シナロピクリン含量を10倍に高めた「バイオベネフィティconc」(アーチチョーク葉エキス)もラインナップしている。微量添加で高い効果を発揮する。また、高配合にも対応する。レギュラー品よりコンパクトサイズなので、輸送時のCO2排出量の削減につながり、環境への配慮やSDGsに対応した原料としてアピールすることも可能である。
これらジュニパーブライトやバイオベネフィティ以外にも、同社では、メラニンや汚れを含む毛穴の重層角層をソフトピーリングする効果が期待できる「ヨーグルトエキス」や、表皮細胞へのメラニン輸送を抑制し、黒ずみ毛穴ケアが期待できるタイムエキス「シンデレラケア」、皮脂の過剰による鼻周りの開き毛穴ケアが期待できるイソフラボン含有ダイズエキス「フラボステロン」、エラスチンの産生を促し手たるみ毛穴をケアする効果が期待できる四つ葉のクローバーエキス「ハピクロ」などをラインナップしており、これら製品をまとめた「毛穴ケア素材MAP」資料を昨年末更新し、拡販を行っている。
また、同社では健康食品素材「バイオベネフィティF」や「シナロピクリンF」も開発しており、化粧品原料と同様に美白や毛穴改善効果が確認されている。内外美容素材としても提案を強化している。