C&T 2024年6月17日号 18ページ
カンタンに言うと
医薬品での評価が高まることで主力となる化粧品OEM・ODM事業の成長拡大に期待
ドラッグデリバリーシステム(DDS)の一種で、医薬品や医療機器、化粧品などで幅広く活用される「溶解性マイクロニードル」の研究開発・製造販売を手がけるRAPHAS JAPAN(ラパスジャパン)では、韓国本社(ラパスコリア)にあるFDA登録施設の医薬品工場で製造したマイクロニードルが、昨年4月にアメリカで「世界初のマイクロニードルOTC医薬品」として発売されたことに加え、ラパスジャパンが昨年9月に第二種医薬品製造販売業許可を取得したことから、第26回 インターフェックス Week 東京でこの2つのトピックスを大々的にアピールしていく。
ラパスジャパンの米元忠信取締役は、同社が第二種医薬品製造販売業許可を取得した主なポイントと今展示会の狙いについて、「韓国で製造した医薬品のマイクロニードルを輸入するには、まず許可が必要となる。また、規制の面から日本向けに薬剤をアレンジしないと輸入販売ができず、日本での販売に向けてはこれまで色々とハードルがあった。しかし、許可の取得と同時にFDAの登録施設である韓国の医薬品工場が外国製造業者として認定され、これを受けて日本向けにアレンジした独自の商品開発が可能になった。今回のインターフェックスでは、世界初のマイクロニードルOTC医薬品を生み出した優れた品質の安定性と量産が可能なラパス独自のDEN(Droplet Extension)製法を紹介するほか、ようやく日本で我々が医薬品事業のスタートラインに立つことができた点をアピールし、貼り薬や飲み薬と比較してマイクロニードルの方が適する薬剤の研究や開発を日本の製薬メーカーさんと共同で取り組んでいきたい」と説明する。
営業部の大川久美子氏は、医薬品事業の近況について「現時点で日本での販売は未定だが、第二種医薬品製造販売業許可を取得したことに加えて、アメリカでOTC医薬品を発売した実績が評価され、既に複数の製薬メーカーさんから医薬品の共同開発と製品化に向けた具体的なオファーがある」と語る。
一般的な溶解性マイクロニードルは、遠心分離機の金型に有効成分を投入し、熱や光で乾燥・固形化する「Micromolding」製法が主流となっている。
同製法では、金型から取り外した後、パッチ素材から貼り付ける工程が別途必要となり、量産化が難しいといった課題があった。また、脱泡が難しいため正確な容量が入れづらく、熱や光での乾燥により配合成分の安定性が低下するなどのデメリットもあった。
それに対し、DEN製法は金型を使用せず、配合成分を直接パッチ素材の上に滴下してマイクロニードルを成形することでより含有量の多い、強いニードルを作り上げる。さらに、従来のニードル成形で主に使われていた熱や光を一切使用せず、常温エアーでニードルを乾燥させることで配合成分をより安定的にマイクロニードルに保持し、安定性と浸透性に優れるといったメリットがある。
また、溶解性マイクロニードルにおいて世界で初めて製造から箱詰めまでを自動化した生産システムを実現し、配合容量や貼る部位に合わせてニードルの長さも自由にコントロールでき、多種多様な形状・大きさのパッチにも対応できるという。
ラパスジャパンが主力とする溶解性マイクロニードルの化粧品OEM・ODM事業では、「どんな効能効果を持たせるか」「訴求あるいは効能を出す成分としてどのような成分を配合するか」「肌のどこに貼るのか」の3点についてクライアント企業にヒアリングを行い、要望を受けて最適な配合成分とパッチ形状の提案を行っている。
溶解性マイクロニードルは、ヒアルロン酸Naをベースとして、用途によって様々な美容成分を配合できる。成分自体を髪の毛の1/3の細さで乾燥させた繊細なニードルが、皮膚角質層の水分と反応して溶解・吸収され、貼っている部位以外にも成分が広がり、全体的に肌の状態を高められることが魅力の1つだという(図参照)。
「効果や効能が重要視される医薬品での評価が高まることで、我々が展開する化粧品事業の信憑性も自ずと高まってくるものと期待している。ニードルコスメに関する需要は年々高まっており、当社の化粧品事業において今後のさらなる拡大が見込まれている。こうした状況を踏まえて、今夏には静岡工場の生産能力を従来比から倍増させる設備投資を行い、化粧品事業の安定供給を目指していく」(米元氏)
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