マツモト交商は、脱炭素・省エネ・節水に貢献する原料として3原料を紹介した。
「SEA BALANCE(CARBONWAVE社)」は、サルガッサムと呼ばれるカリブ海に生息する浮遊海藻を有効活用した原料で、2000万トン以上の大量発生により海洋生物の移動や呼吸を妨げ、海岸に打ち上げられると腐敗しメタンガス排出による生態学的な災害などが問題視されているサルガッサムに含まれるセルロースを利用し、ピッカリング乳化剤としてアップサイクルしたものだ。化粧品に利用することで、海洋の健康を回復させつつ、脱炭素社会にも貢献する素材となっている。
「セルロースナノファイバー(日本製紙社)」は、木を構成する繊維をナノレベルまで細かくほぐすことで生まれる最先端のバイオマス素材で、植物繊維由来であることから、生産や廃棄に関する環境負荷が小さく、軽量であることが特徴という。
化学合成素材から植物由来素材への移行が進む中で、脱炭素に貢献する原料として注目されている。さらに、昨今では化粧品における認知度も高まっており、増粘剤、分散剤として応用されている。これまでは、感触やバイオマスという点を評価されて採用されるケースが多かったが、最近では分散機能など実際の効果を実感できる使用にシフトしてきた。
「GreenDiol(GS Caltex社)」は、サトウキビ等を原料とした100%植物由来のバイオポリオールで、合成素材と比較して環境にやさしいだけでなく、保湿効果と抗菌効果を併せ持っている。合成のバイオポリオールでも保湿効果、抗菌効果は有しているが、植物由来のポリオールでも機能が確認された。100%植物由来の、環境に配慮した保湿剤として今後も採用が増加していくことが期待される。
「化学合成素材は、原油や重油を高温高圧下で分解する過程で作られる。高温高圧下では多くのエネルギーを消費し、環境に大きな負荷がかかる。そのため、発酵技術などを用い、脱炭素社会を目指すという流れが注目されている」(同社)
この記事は週刊粧業 2024年7月1日号 30ページ 掲載
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