ドクターシーラボ (本社=東京) がこのほど発表した2010年7月期決算は、売上高が317億8900万円で前期比22.7%増、 営業利益が83億7000万円で54.9%増、 経常利益が83億7600万円で55.4%増、 当期純利益が46億9900万円で54.2%増となり、同業他社の追随を許さない好調ぶりを見せつけた。
売上高の90%以上を占める国内事業では、「通信」「対面型店舗」「卸売」のすべての販売チャネルで売上高が増加。このうち、主要販路の「通信販売」は181億6700万円で30.2%増の大幅な成長率を記録した。既存顧客の購入回数が増加するとともに、40~50歳代の中高年層の新規顧客を獲得したことなどが寄与した。また、高年齢層が健康食品を定期配送サービスで購入するケースが増えたことも売上拡大につながった。
通販に次いで成長率が高かった「卸売販売」は、ドラッグストアへの展開強化と「BBパーフェクトクリーム」の拡販が功を奏し、18.5%増の84億2000万円で好調に推移した。生協のカタログ販売で商品展開をするなど新規販路を開拓したことも影響したとみられる。
「対面型店舗販売」の売上高は44億3100万円で5.8%増。当期は百貨店に7店、GMSに3店の新規出店を試みる一方で、百貨店で4店、GMSで1店を閉店し、効率性を重視する店舗施策を実施した。逆風下の百貨店では既存顧客の囲い込みに注力したことから売上げは微増で推移。GMSでは、新規顧客の獲得に成功し堅調に売上げを伸ばした。
売上構成比こそ低いものの、海外事業もアジア地域の販売が牽引するかたちで18.4%増の7億6900万円で好調に推移した。中心地域となる台湾では、当期から強化したテレビショッピングでの販売が好調で、成長基調に乗せつつあるという。また、香港においては、中国本土からの旅行客を獲得するためショッピングモールなどでの販売を強化。販売代理店を通して展開するシンガポールとマレーシアは、新たに2店を出店した効果などから順調に取引額を増加させている。
売上高の内訳に見るアイテム別動向では、「化粧品事業」が303億3100万円で20.9%の伸長率を記録した。ドクターシーラボブランドでは、アクアコラーゲンゲルシリーズの「エンリッチリフトEX」が積極的なプロモーション活動により大きく売上げを伸ばしたほか、「BBパーフェクトクリーム」がリニューアルを機に全販路で拡販を図ったことにより、特に店頭での販売が好調に推移。 テレビインフォマーシャルやラジオCMを通した新規顧客の獲得にも成功した。
このほか、新ラインの追加や店舗数の拡大を実施した「ラボラボ」や、主力製品のリニューアルとともに通販展開に乗り出した「ジェノマー」の両ブランドも売上げを伸ばした。一方、「dr. brandt」 は、効率性を重視して実施した店舗縮小策で織り込み済みの減収となった。
「健康食品事業」は定期配送サービスの認知度が向上したことや、ラジオCMの効果で新規顧客を獲得するなどした結果、114.8%増の10億7600万円と大きく成長。売上規模は小さいが、今後の急拡大を予期させるほどのインパクトを与えている。
利益面では、各販路での販売が好調で売上高が増大した効果に加え、新規顧客の獲得が効率的に進んだことによる販売促進費の低下 (5.3%減の25億600万円)、さらには、通信販売の既存顧客に対する会報誌やダイレクトメールの発送費用などの増加を抑制したことにより、各利益とも大幅に向上した。積極投下した「広告宣伝費」(26.3%増の46億2000万円) も売上拡大に効果的に作用した。
今期の見通しは、 前期の勢いを維持するかたちで売上高を360億円 (13.2%増)、 営業利益を96億円 (14.7%増)、 経常利益を96億円 (14.6%増)、 当期純利益を52億7000万円 (12.1%増) と予想している。8月に発売した「薬用アクアコラーゲンゲル美白」で新規顧客層をさらに広げる考えであるほか、 高年齢層の取り込みにより前期に急成長した健康食品も積極的に展開する。活発な広告宣伝を継続して顧客の囲い込みにつなげる。
海外事業も、アジアを成長のエンジンと位置づけ、台湾ではテレビショッピングを主力販路の百貨店に並ぶ重要チャネルに育てる方針であるほか、香港でも積極的に店舗を増やしていく。その他の新規エリアへの進出も加速させたい考えで、準備を進めていくという。
なお、同社は決算開示日に合わせて開催した取締役会において、利益剰余金を配当に充てる案を10月22日の株主総会に付議することを決めた。1株あたりの配当金を、前期実績の2800円から3200円とする。
この記事は訪販ジャーナル 掲載
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