住友精化は2010年11月、健康と環境に配慮したアクリル系水溶性樹脂「アクペック800シリーズ」を発売した。昨年11月には、同シリーズから低毒性溶媒と顆粒化技術を応用した高機能グレードのレオロジー調整剤(増粘剤)「アクペック800ERKシリーズ」(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10―30)クロスポリマー)と「アクペックSERKシリーズ」(同)を追加し、ラインアップの拡充を行った。そして今年、これまでのポリマー重合技術を応用した水性増粘剤を新たに開発し、シリーズの充実を図ることによって幅広い分野での拡販を目指していく。
アクペック800シリーズを開発した背景には、従来のアクリル系増粘剤のカルボマーが微粉末であり、粉立ちや流動性など作業での使いにくさや粉塵による人体へのリスクが懸念されていたことにあった。
そのため、同社では新たに顆粒化技術を開発し、流動性と作業性を大幅に改善したほか、商業ベースで世界初となる医薬品残留溶媒ガイドラインに規定された健康に及ぼすリスクが最も低い「クラス3」の低毒性溶媒を用いて製造したことで、人体への健康に及ぼすリスクも軽減させた。
これらの技術を応用して昨年紹介したのが、従来のカルボマーにない機能を持った耐塩性乳化能タイプの「アクペック800ERKシリーズ」と超耐塩性の「アクペックSERKシリーズ」だ。
「アクペック800ERKシリーズ」は、ポリマー自体が乳化性能を持ち、一般的なノニオン系乳化剤を全く使用せずに易分散性の機能が付与され、不要な乳化剤を抑えたいベビー用や敏感肌などのスキンケア製品に適している。
「アクペックSERKシリーズ」は、これまでのアクリル系水溶性樹脂では見られない電解質存在下で粘度を発現する特異な性質を持ち、大量のオイルを乳化することができるため、乳液やクリームなどに使用される。
以上が昨年まで展開しているアクペックシリーズで、同社では今年、アクペックシリーズをさらに強化させるべく、新規増粘剤「アクペック-L」(アクリレーツ/ステアレス-30メタクリレート コポリマー)」「アクペック-MG(カルボマーNa)」「アクペック-HU(ノニオン性疎水基会合型、INCI名・申請中)」の3タイプを開発し、シリーズの拡販を強化していく。
エマルジョン型増粘剤の「アクペック-L」は、アルカリで中和することにより増粘性とともに高い透明性を示す特長を持つ。また、界面活性剤との相互作用によって増粘するため、従来のカルボマーでは増粘しにくい界面活性剤を多く含むシャンプーやボディソープなどの洗浄剤にも幅広く適用できるという。
カルボマー中和塩タイプの「アクペック-MG」は、従来のカルボマーで必要だった分散とアルカリ中和工程が不要になり、製造工程の簡略化を実現させた。さらに、増粘する製品に直接添加することで粘度が発現するほか、軽くてみずみずしい触感の増粘も可能となった。
「アクペック-Lのような液体タイプの増粘剤は国内でも珍しい。また、アクペック-MGは新触感のゲルや高粘度でもスプレー噴霧が可能で、新しいテクスチャーの製品開発を検討しているメーカー様に広くご提案していきたい」(山内洋機能化学品事業部部長 プロジェクトマネージャー)
ノニオン性疎水基会合型増粘剤の「アクペック-HU」は、特長としてpHや電解質、紫外線の影響を受けにくいため、安定した増粘が可能で、疎水基を有する界面活性剤などの化合物との相互作用で増粘性を示す。
アクペック-HUにはパターンの異なる「C-2001」「C-2002」の2種類があり、「C-2001」を従来のカルボマーに替えてクリームを増粘すると、滑らかな表面に自然回復する弾力性が得られる。
また、従来の増粘剤ではヘアトリートメントなどに使用されるカチオン系界面活性剤との併用が難しいことが課題となっていたが、「C-2002」はカチオン系界面活性剤との相溶性に優れているため、凝集が起こりにくく、併用によって効果的な増粘が実現した。
さらに、高い透明性が特長で、配合量によっては、これまでにない透明性のある新たなタイプのヘアトリートメントなどの製造も可能になるという。
「アクペックシリーズは、お客様のニーズを常に反映し続け、今回の開発品によってお客様の粘度特性に対する幅広いニーズにも対応できるようになった。今後も、これまでにない化粧品の製品開発にお役立ちができるよう、機能性ある原料の開発に注力していきたい」(機能化学品事業部パーソナルケアグループ 川島雅之氏)
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この記事は週刊粧業 掲載
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