訪販ジャーナル
カンタンに言うと
ポーラ・オルビスグループのポーラ化成工業は、2年に1度開催される化粧品技術者達の学術大会である、第27回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)南アフリカ・ヨハネスブルク大会(IFSCC2012)で「IFSCC POSTER AWARD(ポスター賞)」を受賞した。
応募ポスター総数158編の中から1件選ばれての受賞で、これによりポーラのアワード受賞は今回で6回目となった。現在までの受賞回数ランキングは世界第3位とトップクラスを誇っている。
■受賞論文名
英文名: Discovery of adrenomedullin as a new melanocyte-activating factor
和文名:新規メラノサイト活性化成分アドレノメジュリンの同定とそのメカニズム
発表者:ポーラ化成工業(株) 肌科学研究部皮膚科学研究室 本川智紀研究員
■論文概略
シミなどの色素沈着は、皮膚中にメラニンが異常に蓄積することで引き起こされる。メラニンが皮膚に蓄積する過程で、まずメラニンは、メラニン産生細胞(メラノサイト)で過剰に産生され、その後周辺の細胞(ケラチノサイト)へ拡がり、皮膚中に蓄積する。この過程で、「デンドライト」という構造がメラニンの受け渡しに関係する。デンドライトは、紫外線などでメラノサイトが活性化された状態ではその数が増加することが知られている。同研究では、このメラニンの受け渡しに関るデンドライトに着目し、その数を制御する新規因子の探索を実施した。
同社は、ヒトの持つ全遺伝子の状態を網羅的に解析する技術を用い、4万5000以上の候補から、シミを模した時に状態変化する因子を探索した。その結果、デンドライト数を亢進させる新規因子アドレノメジュリン(ADM)を同定した。ADMは、既存のシミ関連因子と比較し、デンドライト数を顕著に増加する。さらに、ADMはメラニン産生を亢進する作用も持つことが確認されるとともに、シミ部位で大量に存在していることも確認された。
これらの結果は、ADMがメラニンの皮膚中の蓄積に大きく関ることを示唆する新知見であり、同社ではこの研究成果を活用することで、これまでとは異なる、より効果的な美白化粧品の提案につながるものと考えている。
■IFSCCについて
IFSCCは、世界で最も権威ある化粧品学会で、世界47カ国が加盟し、2年に1回学術大会を開催している。世界のトップレベルの化粧品技術者達が最先端の化粧品技術を発表するいわば化粧品業界のオリンピックともいえるもので、応募論文発表はIFSCCの厳正な審査を受け、選ばれたものだけに許される。今回は初めてのアフリカ大陸での開催となり、口頭発表64件、ポスター発表158件がそれぞれの新規性や優秀性を競い、アワードの覇権を争った。
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