「自社工場一貫生産」をモットーに、ボトル成型から印刷やホットスタンプといった加飾まで、全て一貫して自社工場で手掛けている椿化工(本社=埼玉)は、ガラスに置き換わる二軸延伸PET容器を製造しており、技術力の高さで化粧品業界に新風を巻き起こしている。
金型・容器製造・飾色を外部に委託する容器メーカーが多い中、同社では成型のみならず、成型から飾色までを自社工場で製造している。このため、顧客に対して進行状況を説明できるうえ、納期短縮や品質トレーサビリティなどの面からも信頼性を勝ち得ているという。こうした活動が奏功し、現在約12年間にわたり売上げ・利益ともに伸長し続け、2012年12月の決算では過去最高益を叩き出した。同社の取り組みについて紹介する。
二軸延伸ブローPET容器に注力
「国内生産」に強くこだわる
同社が注力する二軸延伸ブローPET容器は、ガラス容器と比較しても、高級感を損なうことなく高い強度を有している。肉厚、肉薄に双方に対応した成型が可能で、寸法精度もダイレクトブローより精密だ。スキンケアからヘアケア、トイレタリーまで幅広い分野での使用が可能で、近年はダイレクトPETからの切り替えも相次いでいるという。
藤村太郎社長は、「国内化粧品市場の伸び率は頭打ち状態で、高付加価値製品、パッケージ重視の方向へ移行している」といい、こうした流れに対応すべく同社では顧客のデザインや企画案を積極的に具現化することで、販売増につなげている。
「簡単なラフスケッチからでも短期間で容器をつくりあげる企画力もある。自社工場生産の強みを活かし、お客様の目で直接、納得するまで工場内で確認できることも評価をいただいている」(藤村社長)
国内経済の状況は、昨年までは円高状態だったため海外製輸入容器が好調で、海外容器メーカーの参入も相次いだ。しかし、最近はアベノミクスの影響で円安が続き、容器についても国内製へと切り替える動きが活発化しているという。
「海外製容器は、どんなに良い設備や金型を使用しても、モノづくりに対する考え方に違いがある。この小さな齟齬が品質面に影響を与えてしまう可能性もある。そのため、当社では国内生産に重きを置き、その魅力を訴えていく」(藤村社長)
設備や環境配慮に積極投資し
時代の先端をひた走る企業へ
「国内生産の魅力」をアピールするため、同社では設備投資も強化している。
成型設備はダイレクトブロー成型機が7台、二軸延伸ブロー成型機が18台、インジェクション成型機が2台揃い、特に二軸延伸ブロー設備の増強に注力している。金型も二軸延伸ブロー容器を中心に500種類以上有しており、すべて自社工場内で製造している。
飾色では印刷自動機3台(うち2色機2台、4色機1台)、ホットスタンプ機2台、丸ラベル貼り機6台(自動機3台、手動機3台)、両面ラベル自動貼り機3台、角型専用ラベル貼り機1台、フィルムトンネル7台、検査ライン10台を保有する。
また、同社では環境配慮型企業としても活動を積極化している。まず、工場棟と事務所棟に直管型LEDランプ搭載ベースライトを合計968本導入し、工場はすべての照明をLEDライト化した。従来の蛍光灯と比較してほぼ同等の明るさを保ちながら、約42%の省エネを達成し、光源寿命は約4万時間と蛍光灯の3.3倍近くも長寿命化を実現している。倉庫棟には水銀灯タイプのLEDライトを導入し、電力消費量を約半分に削減した。工場と倉庫屋根の総面積約4100㎡を遮熱塗料に塗り替え、その上に太陽光パネル1788枚を設置した。これにより日照りを遮り、直射日光による建物内部の気温上昇を抑えることができるようになった。夏期など空調の必要性が高まる時期の負荷を軽減し、CO2排出量の削減や省エネにつながるという。
「売電による収入だけでなく、社会に貢献しているという事実も、かけがえのないメリットだ」(藤村社長)
環境配慮については、一部容器においてもバイオマスプラスチックを用いている。バイオPET・PEは、原料の約3~9割がサトウキビ由来のバイオエタノールでつくられ、従来の石油系プラスチックに比べ、製造から廃棄の過程でCO2排出量を抑えるとともに、限りある石油資源の使用削減に貢献する。強度、耐久性ともに従来の延伸PET材料と差がなく、コストも数円の差で販売が可能としている。
今回の展示会では、新型二軸延伸PETボトルの「FLUSH(フラッシュ)」「BELL(ベル)」「CUL(キュル)」「LARM(ラーム)」「BLANC(ブラン)追加シリーズ」の5シリーズを紹介する。
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この記事は週刊粧業 掲載
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