日雑卸業界、人材と商品開発力を磨きつつ、シニア・インバウンドへの対処も

週刊粧業 2014年9月8日号 1ページ

カンタンに言うと

日雑卸業界、人材と商品開発力を磨きつつ、シニア・インバウンドへの対処も

 日雑卸各社では、今年4月に実施された消費税増税前後の仮需、反動減の影響を受け、4月以前は大きく数字を伸ばしたものの、それ以降は減収による収益性の低下に悩まされている。

 来年10月に実施が予定される消費税の8%から10%へのアップは、実施時期がトイレタリー商材の書き入れ時にあたるため、そのマイナス影響は今回以上に深刻なものになりそうだ。そうした外部環境の変化にもきっちり対応できる、将来を見据えた売上・収益の拡大策を構築することが喫緊の課題になっている。

 そこで今回の卸特集を進めるにあたっては、時代を先読みし、様々な対策を講じている卸企業12社の取り組みをクローズアップし、次世代卸売業のあるべき姿に迫ってみた。

全国一律のMD提案は限界に
求められる製配販の連携強化

 あらたでは、消費税増税後の厳しい経営環境に対応し、主要メーカー、主要小売業と連携した「JBP」(ジョイント・ビジネス・プラン)の取り組みを強化している。これにより、製配販3者の信頼関係を強化して課題を一つひとつ解決していく方針だ。

 営業本部を統括する嶋脇明副社長は、「我々卸は、製販の幹部同士を結ぶ接点の役割がますます重要になる。互いに何に困っており、その課題をどう処理すればよいかを真摯に話し合って解決することでWin―Win―Winの関係に持っていくことを目指している」と語る。

 人口が減少に転じ、高齢化が進展している状況の中で、全国一律のMDだけでは通用しなくなった。エリア、立地ごとにいろいろ知恵を出して取り組まないと、売上げを上げることは難しくなっている。この意味で、製配販3者が互いの課題を共有し、定期的に打ち合わせをすることの必要性はますます高まるだろうし、そうしたスタミナを要する交渉事をうまく取りまとめることができる人材の育成も重要になってくるだろう。

 一方、さらなる収益性の向上に向け、独自で商品開発するPB商品「アドグッド」の販売にも注力している。前期の開発商品の売上高は、専売品を含めて約20億円の規模であったが、「営業本部内に商品開発部を設け、本格的な開発に取り組んでいる。今後は年率20%のペースで売上げを伸ばしたい」(嶋脇副社長)としている。

 アドグッドは、元々PB商品を持っていない得意先に特徴ある商品を提供することが狙いで導入されたが、現在では、PBを数多く開発している大手得意先でも「アドグッド」を導入するケースが増えているという。

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