花王グループは、2016年1月1日付で販売3社(花王カスタマーマーケティング、カネボウ化粧品販売、花王フィールドマーケティング)を束ねる中間持株会社として「花王グループカスタマーマーケティング」を発足する。
各販売会社の本社機能を統合し、それぞれが持つ資産や仕組みを一体活用できる体制を整えることにより、化粧品事業のさらなる強化を目指す。
新会社の社長に就任する竹内俊昭氏に今後の経営課題についてインタビューした。
2015年は化粧品・トイレタリー市場とも
前年比103%と好調に推移
――トイレタリー市場や化粧品市場の動向についてはいかがですか。
竹内 トイレタリー市場は昨年1月~11月までの累計で、金額では前年比103%、数量では100%とまずまずの状況です(インテージ、SRI)。消費増税が実施される前の2013年との比較では、金額が105%、数量が101%となっており、ここ数年単価は上昇傾向にあります。
2015年は、メーカー各社が付加価値の高い新製品や改良品を投入しましたので、それによる効果があらわれたと考えています。月別にみると、1~3月は前年の消費増税前の駆け込み需要の反動で89%と出足が厳しかったのですが、4~6月は前年の消費増税後の反動減からの盛り返しで114%と伸長し、7~11月も105%、12月初旬も市場全体は非常にいい形で推移しています。
好調なカテゴリーは、ベビー用紙おむつ、衣料用消臭剤で、それぞれ121%、107%と大きく伸長しています。チャネル別では1~11月までの累計で、ドラッグストアが104%、スーパー・GMSが101%、ホームセンターが99%となっています。
一方、化粧品市場は1~11月の累計で、金額が103%、数量が104%、直近でも7月以降が金額で107%と非常に好調に推移しています。市場の牽引役となっているのは、インバウンド消費で5~6%の市場押し上げ効果があると推定しています。
そういう環境の中、ソフィーナとカネボウはあまりインバウンドの恩恵を受けていないこともあり、市場の伸びを下回る形で推移しています。
花王のインバウンド売上については、2014年がおよそ70億円、2015年はおよそ150億円とみています。中国からの訪日観光客に価値を伝える活動を推進するため、QRコード付商品POPやJANネージといったツールの活用や、売場での情報発信、花王ホームページにおける中国語による商品情報の提供など、様々な取り組みを強化しています。
また、これまでのお土産的な需要からパーソナルな需要にシフトしてきているのに伴い購入の仕方も変わってきていますので、そういう変化に対応した売り方、売場づくりでお役立ちできればと考えています。