ライオン創業者・小林富次郎氏の葬儀映像が文化庁のサイトで配信開始

粧業日報 2020年3月4日号 6ページ

ライオン創業者・小林富次郎氏の葬儀映像が文化庁のサイトで配信開始
 ライオン創業者・小林富次郎氏の葬儀映像が、「映像でみる明治の日本」(国立映画アーカイブ・国立情報学研究所制作)、「文化遺産オンライン」(文化庁運営)にて2月21日より配信が開始され、国の総合ポータルサイト「ジャパン・サーチ」(内閣府知的財産戦略推進事務局)からも閲覧が可能になった。

 「小林富次郎葬儀」(約7分間のモノクロ無声映像)は、日本最古の映画商社・吉澤商店が撮影した映像で、現存するオリジナルネガ・上映用ポジは、日本映画の中で現在確認されている最も古い映画フィルムであり、2011年6月27日に国の重要文化財に指定された。

 映像は、1910年12月16日午後1時に神田美土代町の東京基督教青年会館(YMCA)で告別式が営まれた際に撮影されたもので、同月13日に亡くなった小林富次郎氏の柩が載せられた二頭立ての馬車を中心に、神田柳原河岸の小林富次郎商店本店から青年会館まで参列者が歩いていく葬列の模様を映し出している。

 小林富次郎氏は、1891年に小林富次郎商店を創業し、石けんやハミガキの製造販売を行い、1900年には「慈善券付ライオン歯磨」を発売した。

 その仕組みは、商品の愛用者が使用済みのハミガキの空袋を慈善団体に届け、その枚数に応じて慈善団体に寄付を行うというもので、こうした慈善事業に熱心であったことから、葬列が進む沿道には孤児院などの慈善団体から贈られた花輪が続く様子が映し出されている。

 当時の最新鋭の撮影機器で捉えた鮮明な映像は動きの不自然さが少なく、100年前の明治後期の東京の人々の暮らしぶりを非常に良く捉えている。
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