岩瀬コスファ、低温熱可塑性エラストマーを提案

C&T 2020年12月15日号 32ページ

カンタンに言うと

  • 幅広い分野への応用を検討
岩瀬コスファ、低温熱可塑性エラストマーを提案
 岩瀬コスファは、植物由来のバイオ素材「トチュウエラストマー」(日立造船、トチュウエラストマーは日立造船の登録商標)と「カオーアキポRLM-45NV」(花王、カオーアキポRLM-45NVは花王の登録商標)の提案に力を入れる。

 トチュウは中国原産の落葉高木であり、これまで漢方薬や健康食品(杜仲茶)の原料として使用されてきた。また、葉や果皮、樹皮などにトランスポリイソプレンを含むユニークな性質を持つ。

 トチュウエラストマーは、このトチュウ由来トランスポリイソプレンを主成分とするバイオポリマーであり、3Ⅾプリンタフィラメント等の特殊材料やゴルフボールの材料などに使用されてきたほか、近年では化粧品分野での活用も研究が進められている。

 100%植物由来天然樹脂である同品は、マイクロプラスチック問題や地球温暖化対策への貢献が期待でき、具体的にSDGsの「12、つくる責任 つかう責任」「14、海の豊かさを守ろう」「15、陸の豊かさを守ろう」といった達成目標にもマッチしている。

 融点が62℃の低温熱可塑性エラストマーである同品は、低温で成型加工が可能となっている。形状記憶過程についての実験では、加熱後に変形可能となり、冷却することで固定され、再加熱による形状回復も確認された(図1)

 また、スクワランや各種植物油と室温でコロイド溶液を形成し、増粘効果を示す。

 低温熱可塑性エラストマーとして、「リスタイリングにも優れたスタイリング剤への応用なども期待できる」(同社)ほか、引き続き様々な分野への活用を目指し、研究開発を進めている。



 さらに同社では、「カオーアキポRLM-45NV」の優れたカラー退色防止効果の紹介にも注力している。陰イオン界面活性剤で、眼や皮膚への刺激性も低く、生分解性にも優れており、魚毒性も低い。酸性条件下でも起泡性を有し、対硬水性に優れている。

 アラニン系アニオン活性剤との併用では、カラー退色防止効果のほか、滑り性や泡質を評価した。

 カラー退色防止効果の実験では、人毛黒髪を2回ブリーチ処理した後、染色した毛束を試験材料として、10%に希釈した各種シャンプーと毛束を入れ、60℃に保ちながら20分間静置することで退色させた。

 その後、色差計で測定し、退色試験前後の色差を比較した。その結果、カオーアキポRLM-45NV単体シャンプー、ココイルアラニンTEAとの併用シャンプーはSLES系シャンプーに比べ、カラー退色防止効果が高いことが確認された(図2)



 コーミングテスターを用いた滑り性試験では、ココイルアラニンTEA単体シャンプー、カオーアキポRLM-45NV単体シャンプー、両者の併用シャンプーを評価した。

 健常毛の毛束でシャンプー前後での滑り性の変化率を測定したところ、ココイルアラニンTEAとカオーアキポRLM-45NVを併用することで滑り性が向上していることがわかった。

 さらに、カオ―アキポRLM-45NV単体では併用時よりもさらに良好な滑り性が確認された(図3)

 また、それぞれのシャンプーでポンプ容器を用いて泡を作成し、泡の粘度を計測した結果、ココイルアラニンTEA単体、カオーアキポRLM-45NV単体に比べ、両者の併用シャンプーは泡の粘度が上昇し、泡質改善効果も確認された。

 20~40代の男女11名を対象に使用テストを実施した。カオーアキポRLM-45NV併用シャンプーとコントロール(ココイルアラニンTEA単体)の2種類をハーフヘッドで使用。左右を入れ替えて、2回以上使用した結果について、コントロールに比べた各項目の点数を記録した。

 結果、「泡立ちの早さ」「泡量」「泡の柔らかさ」「すすぎ時の髪の滑り性」「すすぎ後の髪の滑り性」の全項目において、カオーアキポRLM-45NV併用シャンプーがコントロールを上回り、使用テストでも各評価結果と同様の結果を得ることができた。

 セルフケア需要も拡大する中、同社はウィズコロナを見据えた提案に力を入れる。
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