ライオン 掬川正純社長、既存事業の枠を越えた事業拡大を目指す

週刊粧業 2022年1月1日号 46ページ

カンタンに言うと

  • 生活者の意識変化は今後定着化することを想定
  • オーラルケアは全ての分野が好調、リビングケアは付加価値化に成功
  • 中国が好調で海外事業を牽引、事業規模が2年間で2倍に拡大
  • 解決すべきハードルをクリアし日本のよきパウチ文化を世界に
  • 新規ビジネスの創出加速に向け主体的に事業化図る機能を強化
  • 「ウィズコロナ」の継続を前提にインフェクションコントロールを強化
ライオン 掬川正純社長、既存事業の枠を越えた事業拡大を目指す
 ライオンの2021年1~9月期(IFRS)は、一般用消費財事業がハンドソープの減収をハブラシ、柔軟剤、解熱鎮痛剤でカバーし、ほぼ前年並みとなった。海外事業は東南アジアが厳しい市場環境の中、堅調に推移するとともに、中国の好調が継続し増収となっている。

 特に、長年停滞が続いていた浴室用洗剤、トイレ用洗剤の分野で「こすらず洗い」というパーパス(ReDesign)に基づいた提案が定着しつつあることに手応えを掴んでいる。

 2021年の動向と2022年の展望について、掬川正純社長にインタビューした。

生活者の意識変化は
今後定着化することを想定

 ――まずは、2021年を振り返っていただけますか。

 掬川 2021年は、前年に引き続き新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが社会経済活動に大きな影響を及ぼし、トイレタリー業界にも波及した結果、カテゴリー毎に好不調のコントラストが非常にはっきりした1年となりました。

 コロナ禍が続く中にあって一番大事なのは、「生活者の意識変化、ライフスタイル変化が定着していく」という視点を持つことだと考えています。

 生活者の意識変化では、「健康意識の高まり」「家事意識の高まり」「不安なく人と会えること」の3点が今後ますます重要なポイントになってきます。

 具体的には、健康意識が高まったことで、オーラルケア市場は堅調に伸びており、付加価値化が進んでいます。また、在宅時間が長くなったことが家事を見直す契機となり、こすらず洗えることを訴求した浴室用洗剤「ルックプラス バスタブクレンジング」や、トイレ用洗剤「ルックプラス 泡ピタ トイレ洗浄スプレー」が好調に推移するなど、家事意識の高まりは着実に進んでいます。

 コロナ禍においては、人と人が接触することのリスクが認識される一方で、リアルで接触しないと実現できないことも認識され始めています。リアルでの接触を可能にするソリューションの提供はまだ道半ばですが、大きなニーズがあることは間違いありませんので、不安なく人と会える環境を整える商品・サービスが今後の大きなテーマになっていきます。

 21年は新しい時代の清潔習慣の普及・定着のために「青のキレイキレイ シリーズ」を投入し、家庭内の手洗いから提供価値領域を拡大し、外出先の手洗いに範囲を広げるなど、一定程度の貢献は果たしましたが、まだ十分とはいえず、今後も挑戦を続けていきます。

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