GMコーポレーション、BtoB受発注のEC化を推進

週刊粧業 2022年9月5日号 4ページ

カンタンに言うと

  • 業務効率化が売上拡大に寄与
  • 注文件数増も人手による作業の大幅削減で対応人数は半分に
  • 国内外で販売網の拡大に注力、3年後に売上高100億円めざす
GMコーポレーション、BtoB受発注のEC化を推進
 ブラシ型の低周波モバイル美容機器「デンキバリブラシ」をはじめ、活性電子水をベースに独自の加工を施した新感覚のスキンケア製品を展開する有限会社GMコーポレーション(本社=大阪市)は昨年10月、サロン向けの「ELECTRON for professional」と、一般向けの「ELECTRON EVERYONE」の2ブランドを「ELECTRON(エレクトロン)」に統合し、一本化した。

 同社ではその大きな転換期に、システムソリューションプロバイダのアイルが提供する企業間(BtoB)取引をWeb上で行うことができる受発注システム「アラジンEC」と、販売・在庫管理システム「アラジンオフィス」を新たに導入。BtoB受発注が約75%EC化されたほか、商品のシリアルナンバー管理や、セット販売品の受注入力などがシステム化されたことで業務が効率化し、売上拡大につながっているという。

 「ELECTRON」は、厳しい目を持つ美容のプロの世界で培った美容機器メーカーとしてのこだわり・ノウハウと、独自のテクノロジーとサイエンスの調和から生まれたスキンケア・スカルプケアを中心とする「ELECTRON COSMETICS(エレクトロン コスメティクス)」と、美容機器を中心とする「ELECTRON LAB(エレクトロン ラボ)」の2ラインを展開している。

 ベストセラーアイテムは、2020年11月24日に「Yahoo!ショッピング」が発表した「Yahoo!ショッピング」、「PayPayモール」における売上の年間総合ランキング(2020年1月1日~11月17日取扱高順)で1位を獲得した「デンキバリブラシ」で、一般向け以外にエステサロンからヘアサロン、ヘッドスパ専門店まで幅広い業態の美容サロンでの施術アイテムとして採用されている。 約1000回/秒の細やかな刺激が、頭はもちろん、顔、首、肩、デコルテなど身体の気になる部分に働きかけ、いきいきと美しく導くという。

 今年2月には、新型「DENKI BARI BRUSH 2.0+BODY(デンキバリブラシ 2.0+ボディ)」(21万7800円)を発売     し、ワンタッチで着脱可能なフェイス用とボディ用のアタッチメントを使い分けることで、手軽に本格的なサロンケアのような全身ケアが実現した。



注文件数増も人手による作業の
大幅削減で対応人数は半分に

 企業間での受発注は未だに電話・FAX・メールなどが主流となっている。そのため、受注側・発注側ともにシステムへの入力作業や手書きなどの作業が発生し、場所や時間の制限や、読み取り・入力ミスなども発生しやすく、コロナ禍においてテレワークが広まる現在、多くの企業で課題とされている。

 アイルの企業間(BtoB)専用のECサイト「アラジンEC」では、取引先ごとに単価設定(カテゴリ別、ブランド別、数量別、キャンペーン)やリピート注文などが簡単にできる機能を搭載している。また、商品分類が複雑な理美容業界に対応したメーカー別・カテゴリ別などの詳細検索機能で条件を組み合わせた商品検索も可能だ。ヘアサロン側も使いやすい画面構成や導線を考慮し、 日々の受発注業務の改善・販売促進を実現することで、受注側・発注側ともに時間や場所に縛られず、スマートに取引できるという。

 「アラジンオフィス」は、販売から在庫管理、出荷、請求・入金管理といった販売業務の一連の流れを網羅した基幹システムで、クライアントの要望に応じて柔軟にカスタマイズできるほか、物流向けの倉庫システム(WMS)といった外部システム・ツールとの連携も可能で、これまで中小企業を中心に約5000社の豊富な導入実績を持つ。

 経営戦略部の福本絵梨氏は、同社の好調な業績を支えるアラジンECとアラジンオフィスを導入した経緯について、次のように説明する。

 「BtoBの注文形態はこれまで、サロン→ディーラー→問屋→弊社へと注文が入るという商流だった。受注から納品に至るまでには、受注情報を基幹システムに入力する作業をはじめ、商品の在庫・出荷確認や問い合わせ対応など、人手による多くの作業工程が必要となっていた。

 エレクトロンブランドの受注が拡大していく中で、Web上で受発注が可能なBtoB ECシステムの導入によって、取引先であるサロンが代理店の発注を経由せず直接発注できるようになれば、受注情報を基幹システムへ入力する作業がゼロになり、それに伴う人為的ミスもなくなり、業務効率が大幅に改善すると考えた。

 そこで、システムのリプレイスに向けて様々なシステム会社と商談を進めていく中で、アイル社は理美容業界のクライアント実績が豊富で業界独自の商流を理解されており、我々の意図を理解するスピードが他社よりも圧倒的に早く、そこがシステムの導入を決める大きなポイントになった。

 アラジンECとアラジンオフィスを組み合わせることで、販売・在庫管理システムとBtoB ECが1社で完結する点も大きなメリットで、窓口が一元化されているため、システム稼働後に何か課題が起きた場合でも迅速に対応していただき、本当に助かっている」

 GMコーポレーションがアラジンECを導入する以前は、FAXによる紙ベースの注文がメインだった。そのため、目視チェックでの受注体制に限界があり、受注から出荷までは3営業日のリードタイムを要していたという。

 しかし、アラジンECの導入以降は、取引先ごとに商品単価の表示が可能になり、価格に関する問い合わせが削減された。このほか、注文数量の制御が可能になったことでチェック業務が、注文内容の自動連携が可能になったことで受注入力業務が、それぞれ不要になった。さらには、注文締時間まで取引先自身でEC上にて注文変更・キャンセルが可能になったため、問い合わせが減少し、これらの業務が効率化されたことにより、現在は受注から翌営業日に出荷できる体制となった。

 「これまでは6名で受注業務を行っていたが、現在は取引先からのEC発注率が75%前後で推移しており、人の手に頼っていた作業が大幅に減ったことで以前より注文件数が増加している中でも、半分の3名で対応できるようになった。時間にすると、月480時間ほどの業務削減になっている。また、FAXでの受注が減少したことで、これまで週に1000枚以上使用していた注文用紙がほとんど削減され、ペーパーレス化にもつながっている」

 また、以前は2カ月に1回、キャンペーン情報などをダイレクトメールで700件ほど送付していたものが、現在は取引先向けのEC画面上に、お知らせとして掲載できるようになったことも業務の効率化に大きく寄与しているという。

 一方のアラジンオフィスの導入では、これまでエクセルで管理していた、メイン商材「エレクトロン ラボ(デンキバリブラシ)」の顧客ごとに付与しているシリアルナンバーの管理が、カスタマイズによりシステム化され、顧客への報告書作成も効率化された。

 アラジンオフィスからCSVデータで出力し、以前から利用していたサイボウズ社提供の外部クラウドサービス「kintone(キントーン)」へのインポートが可能になり、業務工数が大幅に削減したという。

国内外で販売網の拡大に注力、
3年後に売上高100億円めざす

 代表取締役の岡村祐子氏は、エレクトロンブランドのさらなる成長と発展に向け、現在の課題と今後の取り組みについて次のように説明する。

 「2005年の設立から今年で18年目となり、これまでは主にBtoBの業務用をメインに展開してきた。一般向けは3~4年前から展開をスタートしているが、クリニックの先生やエステティシャンなどプロの方々から『1回でも結果が出る』と高い評価をいただいている我々の製品の強みを、消費者の方々へ簡単にわかりやすく伝えていくことが課題となっている。

 まず実際に手に取って体験していただき、なぜ結果が出るのかを対面で説明できる環境が重要で、今後はポップアップショップを軸に体験できる場所を増やしていく」

 同社製品が体験できる常設店舗として、体験型ストアの「b8ta Tokyo」をはじめ、「ヨドバシカメラ マルチメディア梅田」「ビックカメラ日本橋三越」での取り扱いがスタートしている。

 「体験イベントは東京や大阪などの主要都市で開催したが、それ以外にお住いの方々は体験する場所がない。そのため、今後はオンライン接客も活用し、製品の良さを1人でも多くの方にしっかりとお伝えしていく。コロナ禍で業務用の売上が落ち込んだ際、一般向けのECが売上をカバーした経験を踏まえ、販売網はさらに拡大していきたい。直近では国内だけにとどまらず海外にも販路を広げるべく、中国で現地法人を新たに立ち上げた。こうした販売網の拡大を進めていき、大阪万博が開催される2025年には、今期売上の約2倍となる100億円の達成を目指す」(岡村氏)
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