サンスター、肥満度が高いと歯の喪失リスクになることを発表

粧業日報 2022年10月4日号 4ページ

2022年10月4日 11時00分

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 サンスターは、滋賀医科大学の前川聡名誉教授と森野勝太郎准教授の研究グループとの共同研究により、定期健康診断結果と医療機関の診療報酬明細書をもとに、20万人を超えるビッグデータを用いてBMI階層や部位別の分析を実施し、年代ごとにBMI (体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数) と歯の本数の関係を分析し、肥満者(BMI≥25)と非肥満者の歯の喪失部位の比較を行った。

 その結果、40代以上の年代において、BMIが高いほど歯の本数が少ないこと、肥満者では非肥満者に比べて大臼歯部 (奥歯) から歯を喪失していくこと、さらに肥満に喫煙習慣が加わることで歯の喪失リスクは増大し、肥満が影響する部位と異なる部位の歯の喪失にも影響を及ぼすことを明らかにした。肥満については性別、年齢や喫煙、糖尿病の指標と独立して歯の喪失のリスクとなることも明らかにした。この研究成果をまとめた論文は今年9月14日にPLOS ONE誌にオンライン公開され、アメリカ糖尿病学会 American Diabetes Association 80th Scientific Sessions(2020年6月12~16日)にて、同内容を発表している。

 サンスターは昨年も同じく、滋賀医科大学との共同研究により、30代から血糖コントロールが悪いほど歯の本数が少ないことを明らかにし、Diabetology International誌にて発表している。脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態である肥満は糖尿病だけでなく、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病、心血管疾患、腎臓病、ガンなどのさまざまな病気の重要なリスク因子であることが知られている。

 令和元年の国民健康・栄養調査によると、男性の33.0%、女性の22.3%がBMI≥25の肥満者に該当すると推計され、日本国民においても肥満は身近な健康問題として認識されている。最近の研究により、肥満は歯周病の発症や進行のリスクを増大させること、肥満者はう蝕リスクが高いことが示され、肥満が歯の喪失リスクとなることが報告された。しかし、同社によると肥満が残存歯に及ぼす影響を年代別、歯の部位別に検討した大規模な研究はこれまでになく、今回の研究では診療報酬明細書と定期健康診断結果から構成される大規模データベースを用いて、肥満が歯の残存に及ぼす影響を年代や歯の部位ごとに分析し、肥満の歯の喪失に対する影響について、他の主要なリスク因子である喫煙や糖尿病の指標などの関与も考慮して分析を行った。

 具体的な方法としては、複数の健康保険組合の定期健康診断受診者約70万人のうち、2015年度に歯科受診歴があり、歯の本数とその部位が確認でき、健康診断におけるBMIとHbA1c(ヘモグロビンA1c)のデータ、喫煙習慣の問診回答を有する20歳から74歳までの男女23万3517人のデータを解析対象とした。

 対象者を日本肥満学会が定める肥満度の分類に従い、BMI値に応じて4段階(低体重18.5以下、普通体重18.5~25未満、肥満(1度)25~30未満、肥満(2~4度)30以上)に群分けし、10歳階級ごとに歯の本数を比較した。さらに、BMI25以上を肥満とし、肥満の有無で2群に分けた歯の部位別の保有者率、喫煙の有無も加えて4群に分けた保有者率を算出した。

 その結果、40代以上の各年代でBMIが高い群ほど歯の本数が少ないという連続的な関係性が示され、一般的に歯の喪失が起こり始める50代よりも若い段階で、肥満度が高いほど歯を喪失しやすい傾向がみられた。

 また、非肥満者(BMI25未満)と比較して肥満者(BMI25以上)では、多くの部位の歯を失っており、30~60代のいずれの年代においても大臼歯(奥歯)・上顎中切歯の保有者率が有意に低いことが確認された。上顎の多くの歯においては、40代で既に両者の保有者率に顕著な違いがあり、肥満による保有者率低下の影響が最も大きく観察された歯の部位は、下顎の大臼歯であることが明らかとなった。また、肥満に喫煙の条件が加わると、保有者率が有意に低い歯の部位がさらに増え、肥満のみとは異なる部位の歯の喪失にも影響することも明らかとなった。

 分析ではこのほか、肥満が独立した歯数24本未満となるリスク因子であるかどうかを検討するために、BMIとともに性別、年齢、喫煙習慣、糖尿病の指標(HbA1c≥6.5%)を説明変数としたロジスティック回帰分析を行い、歯数が24本未満となるオッズ比を算出した。その結果、喫煙や糖尿病の指標などの他のリスク因子と独立して肥満は歯数24本未満を説明する因子であることが明らかとなった。

 以上の結果から、同社では「肥満者の歯の喪失を防ぐためには、生活習慣の改善による減量や禁煙に加えて、早期に歯科受診を行い、歯周病やう蝕の治療を行う必要があると考えられる。また、喪失のリスクの高い奥歯を中心に、比較的若い年代から適切なオーラルケアを行うことにより歯周病やう蝕を予防していくことも重要だ」とコメントしている。

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