コーセー、シミ形成に細胞分裂の方向が関与していることを発見

粧業日報 2022年10月18日号 5ページ

カンタンに言うと

  • 横方向への分裂がメラニンを過剰に含む未分化細胞の重層化を誘発
コーセー、シミ形成に細胞分裂の方向が関与していることを発見
 コーセーは、肌のシミ部位では健常部位に比べて横方向の細胞分裂が過剰に生じており、それがメラニンを含んだ未分化な表皮細胞の重層化、ひいてはシミの一因になっていることを見出した。

 さらに、同社が開発した美容成分「ナツシロギクエキス」には、この未分化な状態を改善する分化促進効果やメラニン産生抑制効果があり、シミへの有効性が期待できることを突き止めた。

 多くの人が抱える肌悩みの1つであるシミについて同社は、これまでも部位の可視化やそれに基づく形成メカニズムの解明について基礎研究を重ね、そこにアプローチする成分の開発などを通してこの肌悩みの解消に挑んできた。

 これまで、シミのない健常部位では、表皮細胞は縦方向や横方向に分裂して生まれたあと、徐々に分化しながら肌の外側に向かって押し上げられて、角層などの役割をもった皮膚組織になる一方、シミ部位では未分化細胞が健常部位よりも多く観察されるという報告はあったが、その詳細は十分に研究されていなかった。

 そこで今回の研究では、シミ部位での表皮細胞の分裂や分化に着目し、この表皮細胞の分裂と分化を対象に、シミ形成のメカニズムの解明に取り組んだ。

 健常部位・シミ部位のヒト皮膚を用いて、表皮細胞の分裂について検証したところ、シミ部位では健常部位に比べて、横方向の分裂の割合が増加していることがわかった。未分化細胞とメラニンの分布について確認したところ、シミ部位ではメラニンを過剰に蓄積した未分化細胞の割合が多く、基底膜の上に重層化していることが確認できた。

 このことから、シミ部位での未分化細胞の重層化と横方向の分裂の増加には関連性があることが見出された。シミ部位では、メラニンを過剰に含んだ未分化細胞が重層化し分化が滞ることで、ターンオーバーが乱れ、シミの一因になると考えられる。

 南東ヨーロッパを原産とするナツシロギクのエキスは、抗炎症作用や抗酸化作用があることが知られているが、さらなる有効性を探索したところ、分化した表皮細胞でつくられるタンパク質であるケラチン10の遺伝子発現量の増加を確認した。このことから、同エキスには表皮細胞の分化促進効果があり、シミ部位で重層化している未分化細胞を減少できる可能性が見出された。

 また、同エキスはメラニン産生細胞に対するメラニン産生抑制効果も有することが判明した。このことから、ナツシロギクエキスはメラニンをもった未分化細胞の重層化の解消とメラニン産生抑制の両面からシミに対する有効性が期待できるという。
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