岩瀬コスファは、2021年に上市された新規原料「Lissenare」(林原、Lissenareは林原の登録商標)の提案に力を入れている。環境にやさしい、イソマルトオリゴ糖を主成分とするデンプン由来の天然原料であり、スタイリングとトリートメント機能を兼ね備えている。ダメージ毛の柔らかさを改善する効果があるため、リーブオフからリーブオン製品まで幅広く活用できる。
イソマルトオリゴ糖の中でも、べたつきにくいパノースや、結晶化しないイソマルトースをバランスよく含み、感触の優れた柔軟な被膜を形成する。そのため、外から力を加えても壊れにくくフレーキングが起こりにくい。
フレーキング抑制の試験も実施している(図1)。毛束に既存添加剤(グリセリン2%+ソルビトール1%)またはLissenare3%配合ジェルを均一に塗布し、完全に乾燥させた後、室温22℃・58~60%RHで1時間静置し、5回コーミングしてフレーキング状態を観察した。
その結果、Lissenareをヘアジェルに配合することによって、既存添加剤の組み合わせに比べ、顕著にフレーキングを抑制できることがわかった。
また、同品は、セット樹脂と併用することで強いセット力が得られるといい、これまで両立が難しいとされていた、セット力と優れたアレンジ性を兼ね備えたスタイリング剤を実現できる。
実際にセット力とアレンジ性の両立を評価する試験(図2)も実施しており、市販品、セット樹脂5%のみ、セット樹脂5%に既存添加剤(マルチトール5%+PEG1500 5%)またはLissenare 10%を配合したミストを毛束に一定量塗布し、平板上に成型し、22℃・50%RHで乾燥させた。成型した毛束を曲げる応力の最大値をセット力、半値幅をアレンジ性として評価した。
その結果、市販品、セット樹脂+既存添加剤ではアレンジ性は高いものの、セット力が弱く、セット樹脂+Lissenareでは、アレンジ性とセット力を両立できていることがわかる。
さらに、トリートメント効果が期待でき、ごわついて硬くなりがちなダメージ毛のしなやかさを改善し、毛髪に強度を付与することで切れ毛を抑制する。髪や環境にやさしい、サステナブルなヘアケア原料といえるだろう。
同社はこのほか、環境配慮型原料を数多く取り揃えている。「ミロネクトン」「ミロネクトンR」(大日本化成、ミロネクトンは大日本化成の登録商標)は、海洋由来の国産天然無機物で、多孔質物質のため、皮膚表面の垢や汚れなどを吸着し、清浄成分として働く。各種ミネラル成分をバランスよく含有しているため、美肌効果と、酸化鉄および微量の硫黄の働きにより消炎効果が期待できる。
このような効用及び作用を応用して、パック基剤、洗顔剤、石鹸、クリーム、シャンプー、トリートメントなどに広く使用することができる。「ミロネクトン」と、微粉砕・分級処理を行い、使用性を高めたグレード「ミロネクトンR」の2グレードがある。
「洗顔パウダーやシャンプーなど、粒が大きくても気にならない剤型であればミロネクトン、スキンケアクリームや洗顔クリームにはミロネクトンRといったように、用途によってグレードを使い分けていただいている」(同社)
100%植物由来の粉末原料「Symfinity1298」(Symrise、SymfinityはSymriseの登録商標)は、赤みやかゆみ等の炎症トラブルにおすすめで、アンチエイジング・抗酸化機能・抗炎症効果を有する。北米のインディアンがハーブ療法として使用していた植物を圧搾、乾燥したもので、BSBイノベーションアワードでは、ナチュラル化粧品原料部門を受賞した。
抗炎症効果に関する試験も実施しており、濃度依存的に炎症の原因となるプロスタグランジン(PGE2)の放出を阻害することがわかり、0.0025%で140%のPGE2を阻害する(図3)。
「昨今、スキンケアだけでなくヘアケアでも植物由来・天然由来に関する問い合わせは数多くいただいており、Symfinity1298は100%植物由来かつ抗炎症効果も訴求することができる原料だ」(同社)
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