一丸ファルコスは今春、加齢に伴って皮膚がたるんだり、くすんだりすることで見える「老け印象」に着目した新規原料として、「ヒアルガード〈カワラヨモギエキス〉」と「ジュニパーブライト〈セイヨウネズエキス〉」の販売を開始した。
皮膚のたるみは、重力によって皮膚の構造を維持できず、全体的に垂れ下がり老けた印象に見えてしまう。また、たるみは、シミやシワ、ニキビなど明確で局所的な悩みとは異なり、自覚しにくく対策を取りづらいという特徴がある。そこで同社は、皮膚の構造維持力を保つことにより、重力による将来のたるみを防ぎ、老け印象を和らげる成分の研究を進めた。
皮膚の構造を保つには、コラーゲンだけでなくヒアルロン酸も重要であることがわかっているが、真皮には「HYBID」というタンパク質が関与するヒアルロン酸を分解する機構が存在し、高分子ヒアルロン酸の減少によってたるみが進行してしまう。HYBIDは、紫外線や炎症などの外部刺激やたるみ、シワが多い部位で増加する特徴を持つ。
開発した「ヒアルガード」は、消炎・利胆作用を持ち、漢方では黄疸や蕁麻疹の治療にも用いられるカワラヨモギ頭花(キク科・多年草)から抽出したエキス。ヒアルガードのHYBID発現抑制作用に関する評価試験では、1%ヒアルガードが成人由来細胞で増加したHYBID発現量を約45%抑制し、新生児由来細胞と同程度まで発現量を抑制することが認められた。また、新生児由来細胞に対しても1%ヒアルガードは有意にHYBID発現量を減少させることが確認された。
次に、新生児由来の真皮線維芽細胞を用いて、炎症時のHYBID発現量を評価した。起炎物質であるヒスタミンによって増加したHYBID発現量を、1%ヒアルガード添加により約40%まで有意に抑制させることがわかった。また、ヒスタミン添加時の高分子ヒアルロン酸量を評価したところ、ヒアルガードにより高分子ヒアルロン酸量低下が抑制されることが確認された(表1)。ヒアルガードがHYBIDによる高分子ヒアルロン酸の低分子化を抑え、皮膚構造を維持する効果が期待される。
ヒトモニター試験では、皮膚におもりを付けて下向きの力をかけることで、将来のたるみをイメージした評価系を構築し、試験を行った。肌パッチにおもりなしの状態と、おもりを吊り下げた(おもりあり)状態の時のパッチ位置のズレを「(将来)たるみ幅」とした。
1%ヒアルガード含有化粧水とコントロール化粧水を1日2回の4週間、それぞれ半顔に塗布した際の「たるみ幅」の増減を検証した。その結果、1%ヒアルガード含有化粧水を塗布した時のパッチは、コントロールに比べ、有意にたるみ幅が減少することが認められた。
もう1つの新規原料「ジュニパーブライト」は、世界的な美容ニーズとして高まる「肌の明るさ(ブライトニング)」に関わるメディカルハーブ由来の機能性原料である。
同社は、ブライトニング研究で、肌を暗くする細胞内の濁り「リポフスチン」に着目した。肌の色が暗く見えるのは、リポフスチンが光の透過を遮り、細胞を暗く見せているからでもある。つまり、リポフスチンの蓄積を予防することにより、肌を明るく見せることができると考えられる。
そのリポフスチンの蓄積は、細胞内で酸化/変性タンパク質を選択的に分解・除去する清浄化システムであるプロテアソームの活性が低下することで生じてしまう。リポフスチン蓄積を抑制するには、プロテアソームの活性化を促し、リポフスチンの前駆物質である酸化/変性タンパク質を分解・除去する必要がある。
同社は、約400種類の天然植物由来原料の中から、心身の浄化作用を持つとされるジュニパーベリー(セイヨウネズ)の果実から抽出したエキス(ジュニパーブライト)に、リポフスチンの蓄積を抑制し、肌の内部反射光を増加させ、明るく見せる効果を見出した(表2)。
ヒトモニター試験では、1%ジュニパーブライト乳液とプラセボを用いて、1日2回の4週間、それぞれ半顔に塗布し、頬部の内部反射光や明度・色味、表層濁り、メラニン量などを測定した。頬部の内部反射光では、1%ジュニパーブライト乳液は、プラセボに比べ、内部反射光を10%増加させることが認められた。頬の表面濁りについては、メラニン量の変化なしで、15%減少することが認められた。