高級アルコール工業 川合清隆社長、一段と進むサステナブル化粧品原料の行方

週刊粧業 2023年12月4日号 9ページ

高級アルコール工業 川合清隆社長、一段と進むサステナブル化粧品原料の行方
 高級アルコール工業㈱は、継続して植物由来の化粧品原料の製造販売に注力している。

 植物由来の要望が増えつづけるなか、一時、合成品との値差が広がっていたが、ここへきて植物由来品の価格も落ち着き始めていることから、再び植物由来への転換が進んできている。SDGsについてもさらに問われてきており、持続可能な植物由来品での開発も継続して注力している。 

 コロナ禍を経てメイク市場が活況になってきたことで需要が増えてきているクレンジング処方では、今年紹介した、イソステアリン酸とアミノ酸の組み合わせによるオイルの増粘効果を利用した処方の開発も進んでいる。

 αゲルの研究も進んでおり、12月のSCCJ(第1回化粧品技術者会 学術大会)で報告する予定。この他、かねてより紹介している軽い感触の油剤や中粘度油剤を活用し、植物由来品で構成したクレンジングオイル、クレンジング処方の紹介も進めている。

 ダイマージリノール酸水添ヒマシ油(リソカスタ DA-L)やイソステアリン酸水添ヒマシ油(リソカスタ MIS)のようなペースト状の製品は、メイクアップ類からヘアケア商品まで、幅広く技術情報を提供している。こうした製品はすべて植物由来の化粧品原料として、改めて紹介に注力する。

 また、エステル類は、弊社の技術力・研究力が反映される製品群であるため、各製品特性の一層の差別化もまた重要なテーマとして掲げ、検討を続けていた。その中で油剤の乳化特性の評価は化粧品にとって高い要望があり、重要な評価項目と位置づけている。

 この評価結果の一部を9月開催の日本油化学会で「油相の粘度を考慮した所要HLB値の高度予測」という題名で報告。多くの化粧品関連会社から注目を集め、本発表は同学会ポスター賞を受賞した。 

 また成田への移転から30年を経過し、老朽化した本社・研究所の新築も進めている。

 コロナ禍を経て化粧品産業も変化しており、製品に付随する技術データの充実も課題となっていた。製品の多様化も進んだことから、これらに対応する品質管理部門も強化することが必要になったため、新たな本社・研究所の建設計画は2025年完成を目標に今秋から本格的に始動している。 
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