週刊粧業 2011年9月5日号 1ページ
本紙恒例企画として、定番特集「化粧品受託製造業」がまとまった。例年と同じく、中間で化粧品を担ぐ卸や小売店の腕利きバイヤーにモノづくりの苦労と最新事情を伝えるため、店頭からは見えない黒衣集団の奮闘ぶりに迫った。本特集は老舗や古参のほか気鋭の新興勢力まで計35社をカバー。取材協力を仰いだ企業数は計35社に達した。
大手・中堅とも好調な一方、上狙う新興勢の意欲も注目
化粧品受託製造の業界観は現在のところ非常に好調の波が覆っていると見てよさそうだ。
具体的な例として最大手 日本コルマー(大阪市)の業績推移が示すとおり、同社の2012年3月期第1四半期の売上げが過去最高だったほか、当上期の進捗が目標に掲げる「創業100周年に売上高200億円」を上回るペースであるなど、破竹の勢いに弱まる気配が見えない。
また、大手の一角では東洋ビューティ(同)が東日本大震災で大きな痛手を被りながら2011年4月期で増収を堅持したほか、日本色材工業研究所(東京)は「国内事業が堅実で好調な数字」(奥村社長)と安定感を見せ、トキワ(東京)が挙げるアイテム動向にも順調な業績推移を透かして見ることができる。
このように、大手の伸長によって上位社へ寡占が進んでいるのかといえばそうではなく、元気な中堅もしっかりと商機を捉えて好調な業績を確保している。
古参のミロット(横浜市)は前々期に続き2011年7月期も「増収増益で終えた」と高野工場長が相好を崩すと、コスメサイエンス(埼玉県朝霞市)の石渡社長は「前期の売上高は20%増となり過去最高」と意気軒高に語ったほか、トレミーは2011年5月期に2ケタ成長が続く近年の好調を維持した。
さらに、大手と中堅を下から突き上げる格好の新興勢がふるっている。
旺盛な経営方針で話題にのぼる機会が多いサティス製薬は、2011年9月期売上高を「前期比30%増の約13.5億円で着地する予定」といい、「来期は曲線を上げて18.5億円の計画」(山崎社長)であるなど、業界の成長株は現状に満足する気配を一向に見せない。
このほか、健食で構築した支持基盤から“独り立ち”を目指して施策をめぐらせてきた東洋新薬(福岡市)も、2011年7月度までに「化粧品事業の売上高は前期の通期数字をクリアした」(化粧品事業部 吉田室長)といい、飛躍のきっかけをつかんだ様子が見て取れる。
業歴や業容を問わずOEM各社の好調を支えている要因の1つは、依然衰えない化粧品事業への新規参入の波だと見ることができる。
デリシアスエーシー(大阪府富田林市)は展示会の露出が奏功して「新規顧客の獲得につながった」ほか、ミック・ケミストリー(神奈川県座間市)は例年比2倍超の「前期は25社の新規先からアプローチを受けた」(小野沢常務)といい、日本ゼトックも2011年5月期に取引先の拡大を増収増益の原動力として活かした。
新顔といえる企業を迎えて化粧品業界のプレーヤー数が増すなか、作り手としてマーケットを根底から支える受託製造業者は特色の打ち出しでしのぎを削っている。
セントラル・コーポレーション(岡山市)の笹山社長が独自性の協調で「世にないものを作ることに生き甲斐」と明言する一方で、味の素ヘルシーサプライ(東京)はアミノ酸処方の踏襲でトレンドを追わない不変性こそ「当社の特徴が際立つ」(井手課長)と言い切る。
このほか、競合に対し優位性を確保する政策として各社の活発な設備投資が目立っている。
ノーベル化学宏業(大阪府八尾市)はヘアケアやフェイスマスクの生産量が増加したことに対応し、真空乳化釜を導入して効率化を図った。
また、MBLは2015年までに現状の生産力を約2倍増へ引き上げる計画を進めているのに対し、ジェイオーコスメティックス(東京)はライン増強に連動して営業マンの増員を目論むほか、インターナショナルトイレツリースが引き当てた約14億円の設備投資費は出色の金額といえるかもしれない。
※画像:息を殺した集中力と小気味よい製造機の音が交錯する作業現場。精魂こもった商品に粗雑な扱いや不当な返品があってはならない(左上から時計回りにサティス製薬、ケイズ、マスター、玉の肌石鹸)
この記事は週刊粧業 2011年9月5日号 1ページ 掲載
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