化粧品受託製造業大手の日本色材工業研究所(本社=東京都港区、奥村浩士社長、ジャスダック上場)は、UVやマスカラ、ファンデーションを中心とするメイク商材に加え、スキンケア分野の受注拡大も進めている。新たな生産拠点となる「つくば工場」(茨城)も来年2月の稼働に向けて準備を進めており、活発な動きを見せている。フランス子会社のテプニエ社も、近年はメイク分野を筆頭に受注を伸ばしており、海外事業も加速しそうだ。また、世界規模で行われる化粧品技術者の学術大会「IFSCC」での研究発表や、毎年開発している株主優待品の「Beauence(ビューエンス)」シリーズなども、同社特有の取り組みといえる。
乾燥による小ジワ対策で
新たな研究成果を披露
今回は「光と色」をテーマに据え、「UV」「ポイントメイク」「スキンケア」の三本柱で臨む。
まず、「UV」では、紫外線防御効果の新基準「PA++++」に適合するラインナップを幅広く用意する。サンケア商材に加え、ルースやリキッド、クリーム系の各種ファンデーションも交え、商品開発の成果をアピールする考えだ。
同社は、新基準への研究開発に先行して着手した経緯があり、来春夏の最需要期に向けて一層の受注拡大を目論んでいる。
主力カテゴリーの1つである「ポイントメイク」では、マスカラで新製品を披露するほか、チークや口紅類でも、新たに容器メーカーと共同開発した容器を使用し、新規性を打ち出す。
さらに、近年、受注実績を積み上げているスキンケアでも、「乾燥による小ジワを目立たなくする」の表記に対応可能な新たな研究成果をアピールする。
小ジワ対応を巡っては、外部の試験機関に委託し効能評価試験済みだ。同社として乾燥による小ジワ対策に有効な研究内容を発表するのは初めてで、アンチエイジングという一大市場へのアプローチを強めたかたちだ。
「IFSCC」で豊富な研究実績
つくば工場新設で災害リスク分散
同社の特徴的な取り組みの1つには、株主優待品の「ビューエンス」シリーズを毎年製作している点が挙げられる。最先端の技術を搭載し、話題性の高いアイテムを作り上げてきた。
展示会では、2013年の最新作として、小ジワ対応をコンセプトとするクリームと、リップグロスを披露する予定だ。容器や包装箱も、紺青色を基調としたデザインで高級感を演出している。
クリームには、前述した小ジワ対応の研究成果が盛り込まれている一方、リップグロスでも昨年の「IFSCC」(南アフリカ・ヨハネスブルク)で発表した研究成果の応用技術を活用しており、必見だ。さらに、昨年の優待品で好評だった日やけ止めと、チークもディスプレイする。
「IFSCC」での研究発表には、1994年のベネチア大会から継続して取り組んでいる。発表回数は昨年までに8回に達し、同業他社の追随を許さない。
昨年は、「オイルゲルデザインフィラー製剤の開発とその保湿効果」と題した研究成果を発表。それまで主流だった水溶性ゲルでは得られなかった十分な保湿効果などを、油溶性デザインフィラー製剤を開発することで解決したもので、今回の展示会ではこの製剤技術を活用したアイテムも幅広く展示する。
さらに、2008年のバルセロナ大会では、特許を取得しているチューブ状の炭酸マグネシウム「マグチューブ」を配合した口紅が、上唇と下唇の色の差異を補正できるという研究成果を報告。これが世界的にヒットした実績も持っている。
奥村社長は、IFSCCへの取り組みについて、「化粧品における世界最先端の技術を追求している」と述べ、研究開発が同社の重要な経営資源である点を強調する。
また、海外において同社のプレゼンスを高めているもう1つの取り組みがある。パリで開催される化粧品の一大イベント「Beyond Beauty Paris」にも毎年出展しており、「今後、グローバルで受注を伸ばしていく方向性の中で、ヨーロッパを中心に当社製品を海外顧客に売り込んでいく」(奥村社長)としている。
一方、国内でも新たに「つくば工場」(総敷地面積=約1万坪)の稼働準備を進めている。一層の受注増に備えるための対策であるとともに、奥村社長が「一番の眼目」と称する「BCP」(事業継続計画)の観点からも重要なステップになる。
主力の座間工場(神奈川)とは直線距離で約100㎞の地点に位置し、本社を置く東京を拠点に座間とつくばの両工場が同心円状に結ばれる。近い将来、圏央道が全線開通すればインフラ面でも利便性が格段に高まる。
奥村社長は、「地震などの大規模災害でどちらかの工場が被災しても、相互で補完でき、すべてのお客様への供給責任を果たせる」と力を込める。
この記事は週刊粧業 掲載
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