化粧品OEMと容器商社の経営統合で誕生したケイズ(本社=石川県金沢市)が、新業態へ漕ぎ出した2年間を経て内堀を固める格好で業務対応力を高めている。一方で、角嶋一幸社長の自己採点は手厳しく、新工場を竣工する2015年に向けさまざまな課題があると手綱を引き絞る構えを明確にしている。
――現在までに、2業態の経営統合は正解だったと判断できますか。
角嶋 お客様から「中身と容器を1社で対応してもらえることは便利」というお声は時間を追って増え、当面で経営統合は正解だったと思う。
また、中身で係わるお客様から容器の注文をいただく場合や、一方で逆の流れも生まれ、化粧品総合メーカーになったことは概ね好評をいただけている。
ただ、次のステップを踏むうえで越えるべきハードルがある。「便利だ」と評価されるいまの実態を、社員がまだまだ的確にハンドリングできていない。
具体的にいうと、社員らの心には「自分は中身担当」また「私は容器屋」といった旧式なプロ意識の残骸があり、気持ちの根底で総合メーカーになりきれていない。どこか、まだ(旧態への)わだかまりがある。
新工場の建設が始まる2015年に向け、お客様の利便性に全力で向き合える体制づくりが急務だ。これは15年間やってきた当社が越えなければならない壁といえる。幸い、道筋は見えている。
――前期は業績の連続成長がひと休みでした。
角嶋 2012年3月期までに伸びた容器の勢いは継続していたが、前出のとおり壁を乗り越えることを優先するため、勢いに乗るのを抑えて社員が背伸びしなければならない必要性を排除した。(前期は)足元を見直して営業が落ち着いて仕事をすべき時だと考えた。
そうした甲斐あって、今期は(業績が)グッと来ている。投資と開発が先行し不採算だったOEM部隊が回収ベースに転じてきたことが大きい。今期、成長軌道のOEM事業は黒字化の目途が立っている。ただ、大きな目標を欲張らず数字は現状維持を目指している。
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この記事は週刊粧業 2013年9月2日号 8ページ 掲載
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