週刊粧業 2015年8月31日号 1ページ
週刊粧業が目玉企画として2週にわたって総力を注いで実施する「化粧品OEM」特集で、今回は昨年を9社上回る総勢44社から取材の機会を得ることができた。
これでも全国の化粧品OEM事業者の一部に過ぎないとの見方がある一方、マーケットを牽引する主要企業や新風を吹き込む中堅勢力は一通りカバーできたとの自負がある。
共通点として目についたのは、提案力を高めて業績を拡大させている姿や、他社と差別化するために販売支援などに乗り出す光景だった。
外注と新規参入の増加で
化粧品OEM市場は追い風に
化粧品受託製造業者の知見や努力の結晶は一般消費者に見えづらい面があるが、マーケットを下支えする不可欠な存在としてその重要性はどんどん増している。
矢野経済研究所が4~6月にかけて行った調査によると、2013年度の国内の化粧品受託製造市場は、前年度比5・3%増の2196億円(事業者売上高ベース)となった。
大手ブランドメーカーによるアウトソーシングの加速や衰えない新規参入の流れなどを受け、OEM業界には追い風が舞い込んでいる。
同研究所は2014年度の予測値についても、2・5%増の2250億円(同)へと拡大するとしている。
こうした調査結果を裏付けるように、各社の好調な業績が浮かび上がった。
最大手の日本コルマーは、2014年3月期の売上高が5%増と堅調に推移し、10期連続の増収を達成した。
今期はさらに約7%の上積みを見込んでおり、売上高は250億円にまで拡大する見通しだ。
同じ関西に拠点を置く大手の一角である東洋ビューティも、近年は関東圏を中心に新客獲得が進み、中期計画の最終年度となる2015年4月期に向けて計画通り順調な足取りを見せている。
過去10年間で売上高を約4倍に引き上げたのは、コスメテックジャパンだ。今期(2014年11月期)も20%増を見込んでいる。
このほかにも、「過去最高」や「急拡大」といった表現が紙面に数多く踊った。
東洋新薬の化粧品事業は2014年3月期に急角度で増大したほか、フェイスラボも2014年9月期が過去最高業績で着地する見通しとなっている。
メークアップ製品を主力とするトキワも、同11月期を大幅な増収増益とする計画だ。
トータルサポートの動き加速か
販売支援のサービスが多彩に
大手販売メーカーの外注や異業種の新規参入が増えていることが業界の活性化をもたらしている面がある一方で、そうした市場環境とともに、各社が品質管理や提案力で研鑽を積み重ねていることも市場を拡大させている見逃せないポイントだ。
従来のOEMの枠組みにとらわれない「提案力」として、各社がオリジナル原料や独自処方、有用性評価試験の開発に力を注いでいるほか、「販売支援」として販売サイドのプロモーション計画をサポートする動きも目立ち始めてきている。「トータルサポート」を打ち出す企業が増えているのだ。
日本コルマーは、評価試験データなどに加え、販売員向けに作成する資料の提供などが好評だという。
サティス製薬も広告クリエイティブの制作やコールセンター業務などをカバーし、こうした総合支援策を前面に押し出した営業体制を強化している。
さらに、シーエスラボがデザイナーを社内登用してプロモーション機能の強化に取り組む一方、東洋新薬は販売員向けにエビデンスの説明などを行う勉強会に協力するなどして販売支援に乗り出している。
エフシー中央薬理研究所も、新規参入企業からの受注増を受けるかたちで容器やパッケージまで含めた総合的な支援体制に磨きをかけていくとしている。
活況の国内市場に加え、海外戦略を強化する動きも依然として強く、沖縄を拠点に据えるポイントピュールは、地の利を活かして台湾や香港、ベトナムまで事業領域を拡大中だ。
また新たな動きとして、マーナーコスメチックスが今年になって「ハラール」認証を取得するなど、ビジネスチャンスを先追いして嗅ぎ取ろうとする各事業者の姿が印象に残った。
【週刊粧業】2014年化粧品OEMメーカーの最新動向(前編)
この記事は週刊粧業 2015年8月31日号 1ページ 掲載
■特集/化粧品OEM(受託製造)後編 ◎ケイズ~OEMと容器の融和で目指すは「化粧品業界のコンシェルジュ」 ◎シーエスラボ~会社のイメージづくりは完了、「面白い」から「売れる」提案へ ◎近代化学~新規原料を用いた付加価値の高いヘアケア・スキンケアOEMを提案 ◎アリエ~グループ一丸の生産体制で常に寄り添うOAMを目指す ◎東色ピグメント~海外へ目を向けた動きが加速、「東色プリズム」を強力に推...
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