週刊粧業 2015年4月24日号
国内市場が成熟し、本舗メーカーが海外進出を加速させる中、OEM各社も成長の軸足を海外に移す動きを強めている。
体力のある大手は中国や東南アジアなどに工場を構える一方、中小企業も現地企業との提携や営業マンの派遣などを通じて関係性の構築を急いでいる。
また、生産拠点は国内に置きつつも、客先の海外輸出を支援する取り組みや、海外メーカーとの取引を加速させようという意向も強まっており、こうした動きはさらに活発化していくことになりそうだ。(記事全文はこちら)
アメリカや中国、韓国にグループ企業や生産拠点を構える最大手の日本コルマーホールディングスは、2015年3月期における海外事業の売上高が前期比約45%増と大きく伸長した。さらに今後は、ASEANへの拠点整備を進める計画を立てている。
大手の一角であるトキワも、海外事業が業績の牽引役を果たしている。2014年11月期の海外向け製品の売上比率は35%を超えた。
日本色材工業研究所も、海外関連の売上構成比を高める方向性で一致する。過去に28%を記録した経緯から、早期に30%をめざし、将来的には50%ほどにまで高めたいと構想している。
一方、一足先に東南アジア市場に乗り入れたアリエ・ミロットグループは、それぞれフィリピンとタイの工場を拠点に今後、本格的な受注獲得に取り組む構えを見せている。
そこから視線を西に向けると、ヘアケア商材に強い近代化学がスリランカに工場を構えている。同社は現在、海外売上高が約20%を占めているといい、中でも最近は台湾が牽引しているようだ。
中小も創意工夫
資金力で劣る中小メーカーも、大手に負けじと試行錯誤を続けている。
ミリオナ化粧品は、台湾をターゲットに据えて営業担当者を頻繁に通わせており、今後は海外事業の人員体制をさらに強化していく計画だ。
ディアローラも海外での展示会などを通じて現地企業へのPRを強めており、現状はまだ5%程度の海外売上高を、中長期的には20~30%に引き上げたいとしている。
他社にない強みを最大限に活かそうというユニークな試みも随所で見られる。
沖縄の離島に位置する立地性や自然豊かな素材を武器にするポイントピュールは、中国や香港、ベトナムなど広範囲に事業展開を試みている。
また、トレミーはフランスの「コスメティックバレー」を模倣して設立された「ジャパン・コスメティックバレー」を通じ、フランス企業との連携強化に取り組んでいる。
海外進出について現地企業とのマッチング機能などをもつプラットフォーム「Digima~出島~」を運営するResorz代表の兒嶋裕貴氏は、「近年は中小や地方企業へと海外進出の裾野が広がっている」としたうえで、「国や地域によって求められるモノやサービスは異なる。そうした違いを知ったうえで、ビジネスを展開する必要がある」などと指摘している。
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この記事は週刊粧業 2015年4月24日号 掲載
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