三洋化成工業、非イオン界面活性剤の親水基構造がαゲルの物性に及ぼす影響を発表

週刊粧業 2020年10月19日号 18ページ

三洋化成工業、非イオン界面活性剤の親水基構造がαゲルの物性に及ぼす影響を発表
 界面制御技術を強みに多分野の機能化学品を揃える三洋化成工業は、「IFSCC」のスキンケアカテゴリーで「非イオン界面活性剤の親水基構造がαゲル構造の物性に及ぼす影響」についてポスター発表を行う。

 αゲルは、肌の最外層にある角層中の細胞間脂質と似た疎水部と親水部の繰り返しからなる層状のラメラ構造を有し、高い増粘効果や乳化安定効果を持つ。

 αゲル配合の製剤はその構造に由来する独特のクリーミーな使用感が特長的で、保水・バリア機能も高い。

 一方で、αゲルは準安定な状態であり、時間経過に伴い固体結晶に変化する点や、構造体に由来し粘度が高いため製剤の伸びの悪さが難点だ。

 そこで同社は、αゲルを形成する界面活性剤の親水部構造に着目し、ユニークな特徴の非イオン界面活性剤「アルファピュールHSG」を開発した。

 高級アルコールをベースにした同原料は、幅広い処方に対応でき、安定性が高いαゲルを形成する。

 得られるαゲルは粘度が低くなめらかで伸びがよく、従来特長の保湿・バリア性と安定性も備えるため、乳液からクリームまで様々なスキンケアへの配合に適する。

 IFSCCでは、同原料の日やけ止め製剤への適用データも紹介する。

 日やけ止め製剤への配合でSPF値の向上が確認されたほか、紫外線吸収剤をαゲル構造中に保持する機能により、経皮吸収を抑制できるという。

 発表にあたり、Beauty&Personal Care研究部の濵野浩佑氏は「αゲル構造と界面活性剤に関するデータは、研究者にとって興味深い内容だと自負している。化粧品原料分野で当社の研究開発力を知ってもらえる良い機会になる」と胸を張り、意気込みを続けた。

 「『アルファピュールHSG』を用いた製剤は肌へ塗布した後も安定なαゲルの膜を形成できると考える。この特長を活かしスキンケア製剤向けの非イオン界面活性剤として今後も研究を進める」
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