日本コルマー、新たに防腐効果試験を確立、敏感肌研究も新知見

粧業日報 2020年10月29日号 1ページ

カンタンに言うと

  • 高精度かつ簡便な防腐効果測定法で、無添加コスメの開発スピード向上へ
  • 防腐剤によって異なる炎症反応を確認、敏感肌化粧品の新アプローチに
日本コルマー、新たに防腐効果試験を確立、敏感肌研究も新知見
 化粧品・医薬部外品OEM/ODM業界の国内最大手である日本コルマーは、「IFSCC2020オンライン学術大会・横浜大会」(10月21日~30日)にて、5題の研究発表を行った。

 5題のうち2題は、素材開発や有用性評価、動物実験代替試験法の確立などの基礎研究を行うスキンリサーチセンター(所在地=大阪市、「日本コルマーSRC」)からの研究報告で、新たに確立した防腐効果測定技術(微生物を用いた保存効力試験)と敏感肌化粧品へのアプローチとして防腐剤が引き起こす炎症反応メカニズムについて発表した。

 同社は今年6月、研究開発本部の「基礎研究部」を「有用評価部」と「安全性評価部」に分けて部門ごとの役割・成果を明確にし、研究開発に集中できる体制を整えた。

 「有用評価部」では素材開発や製品のモニター評価試験など、「安全性評価部」では動物実験代替試験法による安全性評価と保存効力評価を行っており、各部ではそれら評価試験系の開発も積極的に取り組んでいる。

 日本コルマーSRCでは、約3年前から化粧品製剤における「防腐剤の役割・在り方」を研究テーマの1つに掲げ、防腐効果に関する新たな評価試験法の開発を進めてきた。

 日本コルマーSRCの西浦英樹統括マネジャー(基礎研究担当)は、今回の研究成果について「試験精度向上と効率化が両立できる防腐効果を測定する新たな評価技術を開発した」と述べ、こう説明した。

 「化粧品OEM/ODM専業である当社は、様々な顧客のブランドポリシーに沿った製品開発を行っている。製品開発では、特定の防腐剤を使用しない、あるいはその配合量を極力低減したいといった要望・依頼にも応えている。だが、当社は年間数千にも及ぶ多品種・多検体の評価を行うため、試験法は作業効率も重視する必要がある。防腐効果を測定する試験法(保存効力測定法)においても、試験の精度向上と効率化の両立を目指した」

 開発した保存効力測定技術は、ビオメリュー社のTEMPO(保存効力試験用自動生菌数測定システム)を使用したもので、微生物が化粧品中に存在していた場合に専用試薬が蛍光発色し菌数を統計学的に数値化する精度の高い技術だという。

 通常、微生物の数はシャーレ中で数日間培養させてカウントするが、カビは菌糸を伸ばして胞子を作る性質があり、シャーレ全体に無作為に広がることから、培養法では手間がかかる上に、正確に数値化することが難しかった。

 こうした中、西浦氏の研究チームは、蛍光発色を指標とした菌数定量法をさらに簡便化し保存効力試験に適用することで、評価・分析の精度や効率性を飛躍的に高めることに成功した。

 同社では2019年より、国内・海外の化粧品開発にこの保存効力試験法を用いて製品評価を行っている。

 西浦氏は「高精度かつ簡便に実施できる防腐力評価法として多くに企業に使ってもらえるよう、汎用性をさらに高めていきたい」と話す。

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