資生堂のグローバルラグジュアリーブランド「クレ・ド・ポー ボーテ」は3月8日、女性の教育に貢献した女性を表彰し、寄付金を通じて少女たちの社会的地位向上を目指すグローバルチャリティプログラムの一環として、第3回「パワー・オブ・ラディアンス・アワード」の受賞者を発表した。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより世界中で教育分断の危機が深刻化する中、テクノロジーの重要性がますます高まり、次世代の少女たちが自立し成功するためには、STEM(科学、技術、工学、数学)教育の分野へのより大きな投資が求められている。
2021年の「パワー・オブ・ラディアンス・アワード」は、Forbes 30 Under 30 Asia List(2019)に選出された最初の中央アジア出身の女性のIT起業家であり、カザフスタンの若い女性や少女たちに向けて質の高いSTEM教育の提唱と普及に貢献しているアリョーナ・トカチェンコさんを選出した。
質の高い教育は、未来の発展に向けて優先されるべきであり、社会全体の発展と豊かな暮らしのために必要不可欠だが、世界中の多くの少女が、児童婚、貧困、差別、ジェンダーに基づく偏見といった障壁により、初等教育・中等教育を受けることができない状況にある。
進学の道が閉ざされていることで少女や若い女性がキャリアを築くことには大変な困難が伴う現状において、STEM教育を行うことは、将来仕事に就くために必要なスキルを身に付けることに役立ち、経済的自立の状況を改善することにもつながる。
クレ・ド・ポー ボーテ チーフブランドオフィサーの鈴木ゆかり氏は、「2019年3月以来、教育を通じてコミュニティ変革の原動力となっている女性を表彰している。3年目を迎える今年は、STEM教育をカザフスタンのカリキュラムに組み入れることを提唱し、50万人を超える少女たちに影響を与えたアリョーナ・トカチェンコさんを選定した。彼女の業績は、『人は誰でも、自分自身の世界だけではなく、自分の周りの人々の世界をも変える力を持っている』というクレ・ド・ポー ボーテブランドの信念を体現している」とコメントした。
一方、トカチェンコさんは、「私の場合、STEM教育に関係し、コンピューターサイエンスの様々な側面について学ぶことで、たくさんのチャンスの扉が開き、自分にもたらされた素晴らしい機会を掴むことができた。自分自身の活動を通して、若者たちの間で、STEM教育がもたらす可能性についての理解が深まることを願っている。私の夢は、少女たちが置かれた状況に屈することなく、それぞれの可能性を最大限伸ばすための機会を、少女たちに提供する一助となることだ。今回の受賞は、少女たちがより平等なSTEM教育の機会を手にする助けとなる」とコメントしている。
自らがIT企業で働いた経験だけでなく、物理学と数学の勉強を通してSTEMに興味を抱いたトカチェンコさんは、自分の母国でSTEM教育への認識や利用の機会を広げるため、子どもたちのためのプログラミングトレーニングセンターであるLove to Code(ラブトゥーコード)を共同で設立した。
まず、カザフスタン最大の都市アルマティからスタートし、最終的にはカザフスタンのすべての地域において、すべての子どもに、コーディングを学ぶ機会を与えるというミッションを提唱しつつ、コーディングとコンピューターサイエンスにさらなる関心を惹きつけるため新たな取り組みをスタートさせた。
スタート当初6万人だった学生数は、2019年には35万人までに増え、カザフスタンで最大のSTEMの取り組みとなり、今では50万人を超えるカザフスタンの少女がSTEMを学び、200人を超える女性教師にSTEMカリキュラムに関するトレーニングを行うまでになっている。
また、世界中のリモート勤務者にスピーディーにLTEデータを提供するスタートアップ企業を共同設立し、教育格差を悪化させる可能性がある接続環境の不備の解消を目指している。
あらゆる場所、特に農村地域にインターネット環境を提供することにより問題解決を図るべく、Fortune500に入る複数の企業と法人契約を締結している。