花王、製品ライフサイクル全体で環境負荷軽減目指す

C&T 2021年9月15日号 59ページ

花王、製品ライフサイクル全体で環境負荷軽減目指す
 花王は、製品ライフサイクル全体を通じて、CO排出量を削減し、脱炭素社会へ貢献するための取り組みを進めている。

 事業活動に伴う温室効果ガス排出量を削減するために、工場をはじめとする自社事業場では削減目標を掲げ、 エネルギー効率の向上と使用するエネルギーのグリーン化の視点から活動を継続しているほか、製品ライフサイクルの評価において重要な工程である原材料調達と生産、輸送、使用、廃棄・リサイクルの各工程で、温室効果ガス排出量削減を目指している。

 栃木工場や豊橋工場など、花王グループ13拠点で自家消費用太陽光発電設備を導入したほか、再生可能電力の購入も推進している。

 「再生可能電力の取り組みを積極的に進めてきた一方で、ここ数年では工場におけるCO排出量は下げ止まりの傾向にある。その要因として、世の中に再生可能燃料が広く普及していないことが挙げられる。これについては、当社だけでは解決できない課題のため、政府の積極的な働きかけのほか、社会全体で推進していく必要があるだろう」(同社)

 原材料の調達は、製品ライフサイクルにおけるCO排出量の37%を占め、開発・生産・販売の約4倍にも上る。そこで同社は、サプライヤーの協力のもと、リサイクル樹脂、植物由来樹脂、薄い段ボールなど、より低炭素な原材料の使用を求めている。

 また、原材料の納入量や納入頻度を最適化することで、原材料輸送におけるCO排出量の削減にも取り組んでいる。

 また、サプライヤーへの働きかけも行っており、CDPサプライチェーンプログラムに参加し気候変動、水および森林について、サプライヤーに情報開示を求めている。

 これらを通じて、サプライヤー各社に取り組めていない事項を自覚してもらうことで、サプライヤーの活動は年々向上しつつあるという。

 なお、使用段階におけるCO排出量も41%と割合が高い。使用段階において水を多く使う製品では、水道水を製造する浄水場と家庭で使用した廃水を処理する下水処理場で多くのエネルギーを要し、COも発生させる。

 同社では、すすぎ1回を可能にした超濃縮タイプの衣料用洗剤やすすぎのお湯を削減するシャンプー、食器用洗剤など、使用段階のCOを削減する節水型製品を幅広く展開している。今後も、使用段階のお湯の使用量や電力使用量の少ない製品のさらなる拡大を目指していく方針だ。

 廃棄・リサイクル段階は製品ライフサイクル全体のCO排出量のうち13%を占める。

 同社では、分解時に発生するCOがカーボンニュートラルとみなされるバイオマスや植物由来プラスチックの利用を進めているほか、使用する原材料を少なくし、廃棄・リサイクルの量を減らし、負荷を軽減させる取り組みにも注力している。

 「製品が関わるライフサイクル全体でCO排出量や水の使用量を削減していくためには、お客様、ビジネスパートナー、また社会全体と一緒に取り組むことが必須となる。様々なステークホルダーの方々と力を合わせて、本気になって行動を変えていかなければ、カーボンゼロ、カーボンネガティブは実現できない。当社としては、様々な取り組みを進めていきながら、社会全体を変えるための啓発活動等にも注力していく」(同社)
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